みなさん、こんにちは。

今回は、人気のノーチラスシリーズから、プチコンプリケーション「Ref.3712/1A-001」をご紹介致します。

発表されてからの生産期間が極めて短かったこともあり、流通個体が非常に少なく、希少で人気のモデルのひとつです。コミット銀座では、ホームページ掲載前に売れてしまっている時計を含めて、今回が2本目の入荷。なかなか見られない時計ですので、是非最後までお楽しみください。

「Ref.3712/1A-001」ノーチラス プチコンプリケーション SS

ノーチラス生誕30周年記念の前年にあたる2005年に発表され、ノーチラス初となる待望の複雑機構を搭載したモデル「Ref.3712/1A-001」

翌年の2006年には、後継機として「Ref.5712/1A-001」が発表されたため、生産期間は僅か1年という、極めて流通個体が少ないモデルです。

当時は、リューズがねじ込み式ではなかったため、公式データとして発表されていた防水機能を備えておらず、様々な憶測が飛び交い、プロトタイプではないのか!?など、色々と囁かれていました。

私が時計業界に入ったのが2004年ですので、まだ【パテックフィリップ】のことを詳しく知りませんでしたが、純粋に”かっこいい”と思ったのを今でも覚えています。

ノーチラスならではのグラデーションがかったブルー文字盤に、4時-5時位置のスモールセコンド、7時-8時位置のムーンフェイズ・日付指針表示、10時-11時位置のパワーリザーブ表示と、全てに無駄がない絶妙なデザインで、何度見ても惚れ惚れしてしまいますね。

サファイアクリスタルのシースルーバックから覗くムーブメントは、1977年に発表され、今尚現役で活躍している、マイクロ・ローターを搭載した極薄型自動巻ムーブメント「Cal.240」がベースとなっている「Cal.240 PS +IRM +C +LU」です。 プチコンプリケーションの機構を搭載しても、ムーブメントの厚みを4mmほどに抑えているのは、流石【パテックフィリップ】と言わざるを得ません。

こちらの時計ですが、前オーナー様が過去3回に渡り、定期的に(2011年、2015年、2021年)メーカーにてオーバーホールをされているのもオススメ出来るポイントです。直近のオーバーホール時に、ケース・ブレスレットの仕上げもしておりますので、見た目も非常に綺麗ですね。メーカー仕上げは、オリジナルの形状を損なわず、エッジもしっかりとしております。

付属品は、レザー調パスケース、それを入れるリファレンス・ケース・ムーブ番号が記載された紙製封筒、「Ref.3712/1A」の取扱説明書を含む冊子と、しっかりと揃っております。内箱の内部に傷みは出ておりますが、整合性があった箱となっております。この辺りは、冊子ひとつとっても希少ですので、コレクターズアイテムと言える内容だと思います。

気になる販売価格は、16,445,000円(税込)

国内で販売されている個体もほとんどなく、海外販売サイトを見てもリーズナブルな価格設定よりも更にお求めやすい価格となっております。

後継機にあたる「Ref.5712/1A-001」は、販売期間も既に15年近くになりますので、僅か1年ほどで生産が終了したこちらの「Ref.3712/1A-001」が、いかに希少かは皆様も直ぐに分かっていただけるかと思います。その為、今後を考えても非常に面白い時計です。

「Ref.3712」と「Ref.5712」の違い

最後に、「Ref.3712」と「Ref.5712」の違いについてお話しさせて頂きます。同じSS(ステンレススチール)モデルではないのですが、現在コミット銀座で在庫している18KRG(ローズゴールド)仕様の「Ref.5712R」と比べて検証したいと思います。

【文字盤】
「Ref.3712」:7時位置に僅かにインデックスがある
「Ref.5712」:7時位置にインデックスなし
【ムーンフェイズ周りの日付表示】
「Ref.3712」:数字小さい 9~23の数字が全て内向き
「Ref.5712」:数字大きい 9~23の数字が反転

【ケース径】
「Ref.3712」:42mm 1mm小さい  *測定位置(耳~リューズ)
「Ref.5712」:43mm 1mm大きい  *測定位置(耳~リューズ)
【リューズ】
「Ref.3712」:ねじ込み式ではない 小ぶり
「Ref.5712」:ねじ込み式 大ぶり

【ケース厚】
「Ref.3712」:2ピース構造 8.37mm 0.15mm薄い
「Ref.5712」:3ピース構造 8.52mm 0.15mm厚い

視覚的に分かり易いポイントと、ケース経・厚のようになかなか写真で見ても分からない点がございますが、みなさんはどちらが好みでしょうか!?

もちろん好みは分かれて当然。そしてどちらにも良さがあると思います。ちなみに、私個人としては、全体的にクラシカルな雰囲気のある「Ref.3712」が好みではあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。生産期間が短い希少モデル「Ref.3712」、、、

男は希少って言葉に本当に弱いですよね。(笑)

もちろん簡単に手が出る価格ではありませんが、是非とも高級時計の面白さを知っていただき『いつか手に入れたい!』と思っていただけましたら幸いです。

ここ最近、定番から希少なモデルまで幅広く入荷があるのを大変嬉しく思います。本当にありがとうございます。いろいろなお話をいただけることに感謝しつつ、これからもたくさんの【パテックフィリップ】の時計を、みなさまにご紹介させていただければと思っております。

また、ご来店されるお客様から「いつもYouTubeを見てるよ!」と言っていただく機会も増え、親近感を持って接していただけることも大変有り難く思っております。

それを励みに、今後とも皆様に喜んでいただるよう日々頑張っていきます。

では、また!

阿部泰治のパテック論