世界三大時計ブランドの一角として、創業260年程の長い歴史を持つ、スイスの老舗高級腕時計ブランド【ヴァシュロンコンスタンタン】。フラッグシップモデルの『オーヴァーシーズ』は、2022年の初頭に二次流通市場にて急激な価格高騰を見せ話題の中心となりました。その後、少し落ち着きを取り戻した今日(こんにち)においても、【パテックフィリップ】『ノーチラス』、【オーデマピゲ】『ロイヤルオーク』等と並び、ラグジュアリースポーツモデル(以下、ラグスポモデル)の代表格として、依然高い人気を誇っています。

今回は【ヴァシュロンコンスタンタン】『オーヴァーシーズ』のSS(ステンレススチール)モデル(「Ref.42042」、「Ref.47040」、「Ref.4500V」)を3世代遡り、徹底比較していきます!『オーヴァーシーズ』が欲しいけど、「どのモデルを購入しようか迷っている」、「『オーヴァーシーズ』の歴史を知りたい」という方は、必読な内容となっていますので、是非とも最後までご覧ください。

『オーヴァーシーズ』3世代の紹介

まずは今回比較する3つのモデル、「Ref.42042」、「Ref.47040」、「Ref.4500V」をご紹介していきます。

2世代前 Ref.42042
スペック(仕様)
ケース径 37mm ベゼル SS
ダイヤル ブラック or ホワイト or ブルー or ピンク 夜光 トリチウム
素材 SS ブレスレット SS
防水性 150m 駆動方式 自動巻き
Cal 1310 or 1311 パワーリザーブ 約50時間

1977年登場の『222』、1980年~90年に登場した『333』・『フィディアス』、このすべての流れを汲んで1996年に登場した初代『オーヴァーシーズ』「Ref.42042」。ブランドを象徴するマルタ十字をあしらったベゼルデザインが特徴で、ラグスポモデルの中では比較的新しく登場し、【パテックフィリップ】『ノーチラス』や【オーデマピゲ】『ロイヤルオーク』と比較すると、防水性能に優れているなど、後発ならではのスペックの高さも魅力です。

1世代前 Ref.47040
スペック(仕様)
ケース径 42mm ベゼル SS
ダイヤル ブラック or ホワイト or ブルー or グレー 夜光 ルミノバ
素材 SS ブレスレット SS
防水性 150m 駆動方式 自動巻き
Cal 1311 or 1126SC or 1226SC パワーリザーブ 約40時間

2004年頃~2016年頃に製造された『オーヴァーシーズ』「Ref.47040」。このモデルから、ブレスレットにもマルタ十字をモチーフとしたデザインを採用しています。軟鉄製耐磁構造により25,000A/mの耐磁性能を備えており、スペックも更に向上しています。

現行モデル Ref.4500V
スペック(仕様)
ケース径 41mm ベゼル SS
ダイヤル ブラック or シルバー or ブルー 夜光 ルミノバ
素材 SS ブレスレット SS
防水性 50m 駆動方式 自動巻き
Cal 5100 パワーリザーブ 約60時間

2016年登場の3代目『オーヴァーシーズ』「Ref.4500V」。特徴的なベゼルデザインの8葉が6葉へ変更となり、新ムーブメント「Cal.5100」を搭載するなど、デザイン・機能の両側面で大きな変更が加わっています。ケース裏蓋もシースルー仕様となり、腕時計ファンにとっては嬉しいポイントとなりました。

「Ref.42042」と「Ref.47040」のスペック比較

まずは「Ref.42042」と「Ref.47040」の比較をしていきましょう。
主なスペックは以下の通りです。

Ref.42042
Ref.47040
37mm ケース径 42mm
SS ベゼル SS
ブラック or ホワイト or ブルー or ピンク ダイヤル ブラック or ホワイト or ブルー or グレー
トリチウム 夜光 ルミノバ
SS 素材 SS
SS ブレスレット SS
150m 防水性 150m
自動巻き 駆動方式 自動巻き
Cal.1310 or Cal.1311 Cal Cal.1311 or Cal.1126SC or Cal.1226SC
約50時間 パワーリザーブ 約40時間

❶【ケース】

ケース径

Ref.42042 37mm
Ref.47040 42mm
「Ref.42042」が37mmと、比較的小ぶりなケース径であったのに対し、「Ref.47040」では42mmへとサイズアップを遂げました。また、軟鉄製インナーケースになったことで、高耐磁性も実現しています。

❷【ブレスレット・バックル】

ブレスレット形状

Ref.42042 四角形
Ref.47040 マルタ十字モチーフの形状
「Ref.42042」では四角形のコマが連なる形状でしたが、「Ref.47040」ではマルタ十字をモチーフとした形状へと変更され、手に馴染みやすく、装着感が向上しています。

バックル形状

Ref.42042 ダブルロック式
Ref.47040 ダブルプッシュ式
「Ref.42042」で採用されていたダブルロック式から、「Ref.47040」では開閉用ボタンを設置し、着脱しやすいダブルプッシュ式が採用されています。

❸【ムーブメント】

ムーブメント

Ref.42042 Cal.1310 or Cal.1311
Ref.47040 Cal.1311 or Cal.1126SC or Cal.1226SC
「Ref.42042」では【ジラールペルゴ】社製のムーブメント「Cal.3100」をベースにした「Cal.1310」、それを改良した「Cal.1311」の2種類が採用されていましたが、「Ref.47040」では【ジャガールクルト】社製の「Cal.889」をベースにした「Cal.1126SC」、「Cal.1226SC」を採用しています。
「Ref.47040」と「Ref.4500V」のスペック比較

続いて「Ref.47040」と「Ref.4500V」の比較をしていきましょう。
主なスペックは以下の通りです。

Ref.47040
Ref.4500V
42mm ケース径 41mm
SS ベゼル SS
ブラック or ホワイト or ブルー or グレー ダイヤル ブラック or シルバー or ブルー
ルミノバ 夜光 ルミノバ
SS 素材 SS
SS ブレスレット SS
150m 防水性 150m
自動巻き 駆動方式 自動巻き
Cal.1311 or Cal.1126SC or 1226SC Cal Cal.5100
約40時間 パワーリザーブ 約60時間

❶【ケース・ベゼル】

ケース径

Ref.47040 42mm
Ref.4500V 41mm
42mmへとサイズアップを遂げた「Ref.47040」ですが、「Ref.4500V」にて1mmサイズダウンしました。僅か1mmの変更とはなりますが、ラグ足に伸びるケースサイドも丸みを帯びたことで、着用感が増しています。

裏蓋

Ref.47040 クローズドバック
Ref.4500V シースルーバック
「Ref.47040」までは裏蓋がクローズドバックとなっており、3本マストの帆船「アメリゴ・ヴェスプッチ号」のエングレービングが施されていましたが、「Ref.4500V」ではシースルーバックへと変わり、22Kゴールドのローターを備えたムーブメント「Cal.5100」を鑑賞できるようになっています。

ベゼルデザイン

Ref.47040 8葉
Ref.4500V 6葉
「Ref.47040」まではマルタ十字を象徴したベゼルのデザインが8つ備わっていましたが、「Ref.4500V」では6つへと変更され、より柔らかい印象を与えます。

❷【ブレスレット】

ベルトの着脱

Ref.47040 専用工具が必要
Ref.4500V ワンタッチで交換可能
「Ref.47040」では、ベルト交換の際に専用工具を必要としましたが、「Ref.4500V」では、ワンタッチで着脱できる”インターチェンジャブル構造”を採用しており、付属の革ベルトとラバーベルトを簡単に付け替えることが出来ます。

❸【ムーブメント】

ムーブメント

Ref.47040 Cal.1311 or Cal.1126SC or Cal.1226SC
Ref.4500V Cal.5100
「Ref.47040」までの搭載ムーブメントは、【ジャガールクルト】や【ジラールペルゴ】等の他社製ムーブメントをベースに製造されていましたが、「Ref.4500V」では自社開発のムーブメント「Cal.5100」が搭載され、2個の香箱を搭載することで、約60時間のパワーリザーブを実現しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回、【ヴァシュロンコンスタンタン】『オーヴァーシーズ』の3世代を比較してみましたが、年月を経て、どのように進化を遂げてきたのかがお判りいただけたかと思います。

小ぶりでエレガントな印象の強い「Ref.42042」、大型化されインパクトが増した「Ref.47040」、より近代的で精悍な印象へと変化を遂げた「Ref.4500V」と、各々違った魅力がある『オーヴァーシーズ』。

是非とも皆さんのお好きなモデルを探してみてください。

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