みなさま、こんばんは!
今週も新連載の《今さら聞けないシリーズ》をお届けしていきたいと思います。この新企画では、高級腕時計にあまり詳しくない方、これから勉強していきたい方へ向けて「今さら聞けないよ!」といった、高級腕時計の基本的な事をわかりやすくお伝えしていきます。
第10回目となる今回は
【高級腕時計入門編】:『機械式』と『クォーツ式』
「腕時計を購入したい」と思ったとき、一番初めに悩むポイントは『機械式』か『クォーツ式』かという点が挙げられると思います。『機械式』は高く『クォーツ式』は安いといったイメージがあるかと思いますが、それだけではないそれぞれの特徴やメリット・デメリットがあり、今回はその点を解説していきたいと思います。「初めて腕時計を購入する」という方はもちろん、「『機械式』と『クォーツ式』の違いを知りたい」という方も、是非とも参考にしてみてください!
『機械式』と『クォーツ式』の違い
『機械式』と『クォーツ式』は、時計を動かす機構が異なります。それぞれの機構の仕組みを見ていきましょう。
『機械式』とは
『機械式』とは、ゼンマイを動力源としているものです。テンプやアンクル、ガンギ車などの脱進機構と、歯車などの伝達輪列を通じて動かしています。簡単に言ってしまうと、ゼンマイ式おもちゃの”チョロQ”と同じ構造です。時計の場合、ゼンマイが解ける速度を、さまざまなパーツで調整することで、長期間動かし続けることができます。
更に『機械式』の時計は、大きく「自動巻き」と「手巻き」に分けられます。「手巻き」は、文字通り手でリューズを回しゼンマイを巻き上げる仕組みで、「自動巻き」は内部の重り(ローター)が手の動きで動くことで、自動的にゼンマイが巻き上がる仕組みです。
『クォーツ式』とは
『クォーツ式』とは、電池を動力源としているものです。クォーツとは水晶のことを指し、時計の中に埋め込んだ小さな水晶に電流を流し、水晶が振動するエネルギーを利用して時計を動かします。1969年に日本の【セイコー】から、世界初の『クォーツ式』時計「アストロン」が発売され、当時主流だった『機械式』時計から一気に『クォーツ式』時計が広まりました。
『機械式』のメリット・デメリット
続いては『機械式』のメリット、デメリットをそれぞれ紹介していきます。
『機械式』のメリット
・『クォーツ式』に比べ資産価値が高い
・デザインが幅広い
『機械式』の一番のメリットは、各パーツを交換できるため、仮に一つのパーツが壊れても、破損した部分を取り替えることで長期間使い続けられる点です。適切なメンテナンスをしていれば、親から子へと世代を超えて使い続けることができます。
そして、資産価値が高いという点も大きなメリットです。長く使用していても、モデルによっては価値が維持され、購入時よりも高くなる可能性すらあります。
また、デザインバリエーションが多いこともポイントでしょう。歯車を動かすトルクの力が『クォーツ式』よりも強いため、太くて長い針を載せることができ、デザインの幅が広がります。複雑機構を搭載することも可能で、これは時計好きにとって重要な要素となります。
『機械式』のデメリット
・磁気や衝撃に弱い
・価格が高い
『機械式』のデメリットは、『クォーツ式』に比べると精度が劣る点です。各ブランド、高精度な機械式ムーブメントの開発を進めており、以前よりも非常に精度は高くなっていますが、それでも『クォーツ式』の精度には劣ります。『機械式』の精度は、日差±20秒前後は許容範囲と言われていますが、『クォーツ式』では月差±20秒前後とその差は圧倒的です。
また、磁気や衝撃に弱いため使用の際には注意が必要です。ネット社会となった昨今は、保管の際など、多少の気遣いが必要となります。
更には、手作業で数百のパーツを組み合わせて作られる『機械式』時計は、『クォーツ式』に比べ、当然価格も上がります。
『クォーツ式』のメリット・デメリット
『クォーツ式』のメリット・デメリットは次のようになります。
『クォーツ式』のメリット
・ゼンマイを巻き上げる必要がない
・『機械式』に比べ安価に手に入る
『クォーツ式』の最大のメリットは、精度が高いことです。『機械式』の項目で述べた通り、『クォーツ式』は高精度で時刻調整をする必要がほとんどありません。
また、ゼンマイを巻き上げる必要のある『機械式』とは異なり、『クォーツ式』は電池の寿命が来ない限り止まることはありません。電池の寿命は約3年程度と言われており、時計を着けずに保管していても止まることがなく、面倒なことはほとんどないと言えるでしょう。
更には、『機械式』時計と比べ安価に手に入れることができるため、購入のハードルが低く、色々なモデルにチャレンジできる点は、大きな魅力のひとつです。
『クォーツ式』のデメリット
・針を動かす力が弱い
・『機械式』に比べ資産価値が低い
デメリットは、『機械式』に比べ寿命が短い点です。電池を交換すれば動き続けますが、電子回路が寿命を迎えてしまうと修理ができないことが多くあります。電子回路の寿命は10年と言われており、交換できる場合でも高額な修理費が発生します。そのため「一生物の時計がほしい」という方は、『機械式』時計の購入をおすすめします。
また、資産価値やリセール面においても、『機械式』時計に比べると、劣ってしまいます。これは、購入前にしっかりと理解しておくべきポイントです。
まとめ
今回は『機械式』と『クォーツ式』の違いを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
両者は時計を動かす構造が違い、それぞれメリット・デメリットがあります。ゼンマイを動力にし、メンテナンスすることで長年使い続けられる『機械式』。高精度で手間がかからない『クォーツ式』。それぞれ違った魅力がありますので、是非皆さんの用途や好みにあった時計を探してみてください。
今回も、この記事を見ていただいたことで高級腕時計に興味を持っていただければ幸いです!
ではまた!