みなさま、こんばんは!
今週も新連載の《今さら聞けないシリーズ》をお届けしていきたいと思います。この新企画では、高級腕時計にあまり詳しくない方、これから勉強していきたい方へ向けて「今さら聞けないよ!」といった、高級腕時計の基本的な事をわかりやすくお伝えしていきます。
第21回目となる今回は
【高級腕時計入門編】:『ムーンフェイズ』
時計好きの方であれば、一度は目にしたことがある『ムーンフェイズ』。時計のデザインのアクセントになったり、華やかさを増したりといった、”見た目”が最大の特徴です。しかし、外観以外にどのような役割を果たしているのか?どのような仕組みで動いているのか?といったところまで説明できる方はそう多くありません。今回は、そんな『ムーンフェイズ』の機能や仕組み、使い方について解説していきます。是非とも最後までお楽しみください。
『ムーンフェイズ』とは?
『ムーンフェイズ』=『文字盤上で月の満ち欠けを表現する機構』
月と星が描かれた夜空を小窓の中で見ることが出来る『ムーンフェイズ』は、地球から見た月の形『月相(げっそう)』という意味を表しています。新月から次の新月までの期間を示す『月齢』と認識されていることが多いですが、月齢は『ムーンエイジ』と呼びます。『ムーンフェイズ』が一周する周期は、ブランドによる違いはありますが、基本的に29.5日です。
『ムーンフェイズ』の歴史
『ムーンフェイズ』が一体いつ誕生したのかについては諸説ありますが、16世紀頃には基本的な機構は完成していたと言われています。18世紀には天才時計師として知られる「アブラアン=ルイ・ブレゲ」によって初めて懐中時計に搭載され、その当時、”月の満ち欠け”は航海や自然現象などと深い関わりがあったため、人々の生活に欠かせないものとされていました。
そして、腕時計として取り入れられ始めたのが1940年代。一部の高級時計ブランドしか取り扱っていませんでしたが、現在では技術の進歩から多くのブランドで取り入れられています。とは言え、複雑機構であることには変わりはなく、『ムーンフェイズ』を採用しているブランドでも一部のモデルに限られています。先述の通り、以前は実用的な機構であったのに対して、現在は見た目の美しさやユニークな機構として採用されるケースがほとんどとなっています。
『ムーンフェイズ』の仕組み
『ムーンフェイズ』は回転ディスクを利用して表示する仕組みとなっています。
回転ディスクを表示する窓の形は、開口部に2つの半円があり、その半円が下部分を覆うような形となっています。月が水平の位置にあると、窓の半円部分に月が隠されることで、新月を表します。そして、回転ディスクが時計回りに回転し、月の姿が徐々に見えるようになっていきます。90度回転すると満月に達し、再び少しずつ隠れていき、新月へと戻ります。
冒頭でもお伝えしましたが、多くのブランドでは29.5日を一つの周期として『ムーンフェイズ』を設定しています。歯車でこれを設定するには、29.5の倍数である59日で1周する歯車をセットする必要があり、これを1日1歯ずつ進めていきます。29.5日の倍数にする理由は、0.5歯という中途半端な歯が使えないからです。
『ムーンフェイズ』の合わせ方
『ムーンフェイズ』は29.5日に1周するのが大半ですが、実際の月の周期は少しずれています。そのため約3年で、1日程度の誤差が発生します。
止まってしまったり、ズレが大きくなったりした場合には、手動で調整する必要があり、ここでは『ムーンフェイズ』の合わせ方を紹介していきます。
リューズで設定する場合
『ムーンフェイズ』をリューズで調整するタイプの時計であれば、リューズを回すことで設定することができます。『ムーンフェイズ』を調節する際には、月齢カレンダーを参考にするのが確実です。月齢カレンダーはインターネットから簡単に調べることができますので、直近の満月の日にちを調べ、時計の『ムーンフェイズ』を満月に設定します。そして、満月から経過している日数分をリューズで進めれば設定は完了します。新月でも設定できますが、完全に隠れている状態を把握するのが難しいため、満月のほうがわかりやすいと言えるでしょう。
プッシュボタンで設定する場合
『ムーンフェイズ』をプッシュボタンで調整するタイプの時計もあります。このプッシュボタンとは、クロノグラフのプッシュボタンではなく、ケースサイドに設置された、ピンで押して操作する小さなボタンのことです。基本的な設定方法は、リューズで設定する場合と同じで、満月の状態にして、経過している日数分プッシュボタンを押せば、設定が完了します。
まとめ
『ムーンフェイズ』について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
複雑な機構を楽しめるだけでなく、日々移り変わる美しい見た目も大きな魅力の『ムーンフェイズ』。ブランドそれぞれに個性が光る1本を、皆さんも探してみてください。
今回もこの記事をご覧頂いたことで、高級腕時計に興味を持っていただければ幸いです!
ではまた!