映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第79弾の今回は、「ケビン・コスナーの腕時計」をお送りします。
*出典元:https://parade.com/
伝説のマフィア、アル・カポネと国税捜査官の戦いを描いた『アンタッチャブル』(1987)の主役に抜擢され、この一作でスター俳優の座へと駆け登ったケビン・コスナー。製作・監督・主演を務めた『ダンス・ウィズ・ウルヴス』(1990)ではアカデミー賞の栄冠にも輝き、まさに1990年代のハリウッドを代表する映画人のひとりと言っても過言ではないでしょう。
年齢を重ねた近年は、映画の脇を固めるバイプレイヤーとして、主役ではないものの重要な役回りを務めることが多いケビン・コスナー。今回の「Actor’s Watch」は、そんな彼が着用した腕時計に注目したいと思います。
リベンジ
REVENGE(1990)
*出典元:https://www.rolexmagazine.com/
アメリカ海軍の元パイロット、ジェイ(ケビン・コスナー)は、退役後のバカンスを兼ね、元上官のティビー(アンソニー・クイン)が住むメキシコを訪れる。ジェイがそこで出会ったのは、ティビーの若く美しい妻ミリエラ。瞬く間に恋に落ちた二人だが、妻の裏切りに気づいたティビーはジェイに瀕死の重傷を負わせ、ミリエラも売春宿に売り飛ばしてしまう。死の淵をさまよいながら一命を取り留めたジェイは、ティビーへの復讐を誓うのだった。
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退役した軍パイロットと人妻の禁じられたロマンスと、そこから巻き起こる悲劇と復讐を描く『リベンジ』(1990)。本作で愛する女性のために命をかけて復讐を誓うジェイを演じたケビン・コスナーが、ロレックス サブマリーナー(Ref.16610)を着用しています。
名優アンソニー・クインが演じた復讐される側の元上官も、ロレックス デイトジャスト(Ref.16233と思われる)を着用しており、堅牢性の高いサブマリーナーと、エレガントなデイトジャストの対比が、「復讐する側」と「復讐される側」の両キャラクターを際立たせています。
13デイズ
THIRTEEN DAYS(2000)
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1962年10月16日、ケネディ大統領(ブルース・グリーンウッド)とオドネル大統領補佐官(ケビン・コスナー)の元に「ソ連がキューバに核ミサイルを運び込もうとしている」という情報がもたらされる。アメリカの国防上、キューバの核武装は絶対に解除させなければならないが、対応を一歩でも誤れば核兵器を用いた第三次世界大戦に発展しかねない。ケネディ大統領が選んだのは、先制の空爆か、海上封鎖か、それとも別の一手か、、、
*出典元:https://almostontime.com/
米ソの緊張感が高まり核戦争寸前の状態となった、1962年の「キューバ危機」を描くポリティカルドラマ『13デイズ』(2000)。本作で事件当時の大統領補佐官、ケネス・オドネルを演じたケビン・コスナーが着用しているのはハミルトン ジャズマスターと思われる腕時計。アメリカ大統領補佐官という役どころだけに、タイメックスと並び「アメリカの象徴」たる腕時計、ハミルトンのドレスウォッチがよく似合っています。
モデルの特定には至りませんでしたが、1960年代の腕時計としてはやや大ぶりに見えますので、舞台となった1960年代ではなく、撮影当時(1990年代後半)に販売されていたモデルかもしれません。
ネスト
NEW DAUGHTER(2009)
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妻と離婚した小説家のジョン(ケビン・コスナー)は、思春期の娘ルイーサと7歳の息子サムを連れ、田舎町の一軒家へと引っ越す。しかし、心機一転の生活を期待する彼らに奇怪な出来事が起こり始める。夜中に聞こえる物音や声、謎の足跡、夜中に家を抜け出し、泥だらけで帰ってくるが、何があったのか憶えていない娘。やがて家の近所に奇妙な塚を見つけたジョンは、事の元凶がその塚にあると確信し、子供たちを守るために塚を壊そうと試みるが、、、
*出典元:https://www.imdb.com/
これまでホラー作品への出演が無かったケビン・コスナーが、初のホラー出演作となった『ネスト』(2009)。本作でケビン・コスナーはパネライの腕時計を着用しています。こちらもモデルの特定には至りませんでしたが、画像を見る限り、スモールセコンドの無い二針のルミノールベースではないかと思われます。
ところで、本作の原作者は『死せるものすべてに』などのハードボイルド小説で知られる、ミステリー作家のジョン・コナリー。そしてケビン・コスナー演じる本作の主人公も、ジョンという名の小説家。原作者ジョン・コナリーの書く、極めて猟奇的ながら「男の生き様を描く重厚なハードボイルド小説」のイメージが、劇中でジョンが着けているパネライの腕時計に投影されているのではないか?、、、というのは考えすぎでしょうか。
ラストミッション
3 DAYS TO KILL(2014)
*出典元:https://www.nytimes.com/
脳腫瘍により余命数ヶ月の宣告を受けたCIAエージェント、イーサン・レナー(ケビン・コスナー)。残された時間は家族と共にいたいと考えた彼は、離婚した妻と娘が住むパリに向かうが、5年以上会っていなかった娘は自分を父親と認めてくれずに困り果てる。そんな中、CIAの女エージェント、ヴィヴィアン(アンバー・ハード)が現れ、延命の特効試薬と引き換えに、彼に武器商人「ウルフ」の壊滅を依頼する。「父として娘からの信頼を取り戻しながら、エージェントとして危険な武器商人を壊滅させる」という困難なミッションの行方は、、、
*出典元:https://orologi.forumfree.it/
ケビン・コスナーが久々にアクション映画の主役を務め、ジョニー・デップとの裁判で話題のアンバー・ハードとの共演を果たした『ラストミッション』。本作でケビン・コスナーはロレックス エクスプローラーⅡ(Ref.1655)を着用しています。よく見ると秒針に夜光入りのドット(丸)が無いストレート針。つまりこのエクスプローラーⅡは、1971年から1972年頃までの製造初期のレア個体と言えそうです。
「ベテランCIAエージェントが、若手時代に買ったエクスプローラーⅡを、いまだに人生の相棒として身に着けている」などと勝手に妄想して萌えるのも、腕時計愛好家「あるある」でございます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
さすがケビン・コスナー。浮わついたところなく、実用性や堅実性の高い、説得力のある腕時計が選ばれているように思えます。
*出典元:https://bitfan.id/
1987年の『アンタッチャブル』公開時は32歳のヤングスターだったケビン・コスナーも、2014年の『ラストミッション』公開時には、堂々の「アラ還」となる59歳。アクション映画のヒーローを演じるには、少々「ヴィンテージ感」があることは否めませんが、重ねた年輪の分だけ、ヤングスター時代には無かった「哀愁」や「渋み」を感じさせる演技が、作品に味わいを加えています。
これはまさに「経年変化が腕時計にヴィンテージの魅力をもたらすこと」と同じ理屈。長い時を経て人やモノに加わった「経年変化」が、俳優の演技にも、腕時計にも、同じように深みある表現や雰囲気を与えていると言って良いでしょう。
そんな「良質のヴィンテージ」たるシニアに私ももちろん憧れておりますが、知人から「ベースとなる素材の質が違い過ぎるから無理」と言われたことについては無視いたします。
ではまた!