映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第63弾の今回は、「映画&ドラマに登場したロイヤルオーク」をお送りします。

パテックフィリップのノーチラス、ヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズと並び、ラグジュアリー・スポーツウォッチの代表格と言われる、オーデマピゲ ロイヤルオーク。
天才腕時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタの手によるこの名機がどのような映画やドラマに登場するのか、さっそく見て参りましょう。

復讐のビッグガン

Parole de flic(1985)

刑事を引退し、アフリカで事業を営んでいるダニエル(アラン・ドロン)。ある日、悠々自適な生活を送っていた彼の元に訃報が届く。それは、母国のフランスに残してきた娘が何者かに殺されたという知らせだった。葬儀のためフランスに戻った彼は、娘の死の真相解明と復讐のため、刑事だった頃のコネクションを使って事件の核心へと迫っていくのだった、、、

*出典元:https://alchetron.com/

フランスのみならず世界を代表する「世紀の二枚目俳優」として知られるアラン・ドロン。『復讐のビッグガン』は彼の50歳の記念作ですが、五十路に入ってもアラン・ドロンの美貌と鍛え上げられた肉体美は衰えを知らず、サスペンスアクション映画でありながら、美しきアラン・ドロンのアクションを見て楽しむ「大人のアイドル映画」とも言われている作品です。

*出典元:https://vodkaster.telerama.fr/

この映画に登場するのは、オーデマピゲ ロイヤルオーク ジャンボ(Ref.5402)。シリアルは不明ですが、12時位置に「AP」のロゴがある個体のようです。この腕時計はアラン・ドロン私物の愛用品として知られており、『ブーメランのように』(1976)など、複数の出演作での着用が確認されている一本。

*出典元:https://www.pinterest.ch/

実はこの個体、2012年にオークションに出品されておりまして、当時としては記録的な68,750ユーロ(約940万円)での高額落札となっております。安いと思われるかもしれませんが、当時ロイヤルオークはそれほど人気ではなく、今では信じられない話ですが、手に入れようとすれば定価以下で買える腕時計でした。この個体、今オークションに出品されたらいくらの値がつくのか、正直、想像もつきません。

コラテラル・ダメージ

Collateral Damage(2002)

ゲリラ組織の爆破テロによって妻子を失った消防士のゴーディー(アーノルド・シュワルツェネッガー)。彼はテロの直前に犯人と思われる怪しい男と会話しており、FBIにその男のことを伝えたが、捜査は全く進展しない。ある日、アメリカ政府が国益のために犯人を見逃すつもりであることを知ったゴーディーは、自らの力で復讐を果たすべく、単身でゲリラ組織が潜むコロンビアへと乗り込んでいく、、、

*出典元:https://www.netflix.com/

公開が予定されていた2001年にアメリカ同時多発テロ事件が発生し、公開延期を余儀なくされた本作。同時多発テロ被害もまさしく「コラテラル・ダメージ」(軍事行動が招いた民間人の巻き添え)であり、当時は「事件を予言していた映画」などと言われておりました。

*出典元:https://www.primevideo.com/

この映画で、主演のアーノルド・シュワルツェネッガーが着けているのは、オーデマピゲ ロイヤルオーク オフショア クロノグラフ(Ref.25770ST)と思われる腕時計。1993年に登場したロイヤルオーク オフショアは、その大きさから「ビースト」のニックネームで呼ばれ、新興のパネライと並んで「デカ厚」ブームを牽引した立役者。シュワちゃんのビースト級のぶっとい腕にピッタリの一本ですね。

ブラッキッシュ

Black-ish(2014)

黒人でありながら、差別や偏見を乗り越え、ビジネスで大きな成功を手にしたドレ・ジョンソン(アンソニー・アンダーソン)。しかし、幼い頃から白人に混じって裕福な暮らしをしてきた彼の子供たちは、差別の歴史や黒人文化について全くピンと来てない様子。このままでは民族の伝統が失われてしまうと焦ったドレは、父の助けを借りて子供たちに「黒人らしさ」を教えようと奮闘するが、その中で自分も「黒人であるとはどういうことなのか」を自問していくようになる。

*出典元:https://jnews.uk/

ブラッキッシュ』は、2014年から2019年にかけて141話が制作された、人気のシチュエーションコメディドラマ(シットコム)。裕福な黒人の上流階級一家に巻き起こるちょっとした騒動を、面白おかしく自虐ネタと下ネタ豊富にコメディドラマ化しています。ドレの父、自由奔放な「アール」を、映画『マトリックス』のモーフィアス役で知られるローレンス・フィッシュバーンが演じるなど、出演者も豪華です。

この映画では、アンソニー・アンダーソン演じる主人公のドレが、複数のロイヤルオークをゴージャスに着けこなしています。劇中で確認できたのはこちらの3本。

・オーデマピゲ ロイヤルオーク クロノグラフ(Ref.26320)
・オーデマピゲ ロイヤルオーク オートマティック(Ref.15400)
・オーデマピゲ ロイヤルオーク オフショア クロノグラフ(Ref.26170)

*出典元:https://productplacementblog.com/

*出典元:https://almostontime.com/

*出典元:https://www.imdb.com/

黒人の成功者が身に着ける腕時計と言えば、HIP-HOPアーティストやアスリートが金無垢のロレックス デイトナやデイデイトを身に着けるのが定番ですが、ドレは広告代理店の副社長という役どころ。ロレックスの「ストリートラグジュアリー感」ではなく、ロイヤルオークが持つ「ラグジュアリースポーツ(ラグスポ)感」にこだわったチョイスのように思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
1980年代~2000年代初頭には「ラグジュアリーだけど頑丈そう」というイメージでアクション映画の小道具に用いられ、2012年頃のオークションでは、今ほどの高値ではなかったロイヤルオーク。それが2014年の『ブラッキッシュ』では富裕層が持つ腕時計へと、わずか2年ほどで、その描かれ方が180度変わってしまったことがおわかりいただけたかと思います。

これが何を意味するかというと「欲しい腕時計はすぐ買わないと、あっという間に相場が高騰して、買えなくなってしまう場合がある」ということ。経験豊富な腕時計店スタッフほど「安いうちに買っておけばよかった、、、」という悔しい思いを何度もしております(笑)

腕時計購入は思い立ったが吉日。「買いたい時が買うべき時」が鉄則です。
買いそびれて悔しい思いをしないよう、積極的に動いて参りましょう!

ではまた!

Actor's watch