映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第50弾の今回は「ジェイク・ギレンホールの腕時計」をお送りします。
*出典元:https://collider.com/
以前から、ひと癖ある演技派カメレオン俳優としてコアな映画好きに知られていたジェイク・ギレンホールですが、最近はマーベル映画の悪役「ミステリオ」役でファミリー相手にもブレイクを果たし、一躍、若者にも人気のスター俳優の仲間入りを果たしました。今回の「Actor’s Watch」は、そんな彼の腕元に注目して参ります。
- ◆ ドニー・ダーコ
- ◆ ゾディアック
- ◆ ナイトクローラー
- ◆ ミッション:8ミニッツ
- ◆ まとめ
ドニー・ダーコ
Donnie Darko(2001)
夢遊病で街をさまよう中、謎の銀色ウサギに「世界の終わりまで28日と6時間と42分12秒」と告げられた高校生ドニー・ダーコ(ギレンホール)。ゴルフ場で目覚めて帰宅すると、落下した飛行機のエンジンが自宅を直撃し、あたりは滅茶苦茶になっていた…。
*出典元:https://qz.com/
夢と現実が交差する中二病的なドニーの世界観に、因果関係と時間軸が複雑に絡み合った時間SF的な展開を見せる青春映画。「なんだかよくわからないが何度も繰り返し観たくなる」という中毒者を続出させた21世紀を代表するカルト映画の一本です。
*出典元:https://www.reddit.com/
ギレンホール演じるオタク高校生ドニー・ダーコが身に着けているのは、いかにも高校生らしいデジタルウォッチ。ハッキリとは見えませんが、一説によると三つ目G-SHOCKの「トリグラフダイヤル」の原型となった、CASIO TGW-10 「トリグラフ」ではないかと言われております。
ゾディアック
Zodiac(2007)
1968年から1974年にかけ、サンフランシスコで少なくとも5人を殺害し、警察やマスコミに多数の犯行声明を送りつけながら未だ捕まっていない実在の猟奇連続殺人鬼「ゾディアック」。その当時、新聞社に在籍し、独自に調査を行なっていたイラストレーター、ロバート・グレイスミス(ギレンホール)が犯人に迫っていく姿を描いた実録サスペンス。
*出典元:https://screenrant.com/
監督は『セブン』『ファイトクラブ』のデヴィッド・フィンチャー。ギレンホールは、興味本位で関わり始めた事件にのめり込み、やがて強迫観念に突き動かされ、憔悴しながら犯人に迫っていくイラストレーターの姿を熱演しています。
*出典元:https://www.spotern.com/
この映画でギレンホール演じるイラストレーター、グレイスミスが着用しているのは、タイメックス モデル84。1965年に発売された、電子回路を持たない電池駆動の「電気腕時計」です。ゾディアック事件が起きた1970年前後は、セイコーが世界初の量産型クォーツ腕時計「アストロン」を発表し、時計業界にクォーツ旋風を巻き起こした時代。1960年代後半にわずか数年間しか作られなかった「電気腕時計」は、まさに「この時代にしか存在しない腕時計」であり、時代を描くのに適任の時計であると言えるでしょう。
ナイトクローラー
Nightcrawler(2007)
警察無線受信機を手に入れたコソ泥のルイス(ギレンホール)が、無線で得た情報をもとに事件や事故、火災現場などの映像を撮影し、高額でメディアに売り捌く「ナイトクローラー」と呼ばれるフリーランスのカメラマンになる。より金になる「刺激的な映像」を求めて、事故現場で遺体を動かしたり、犯罪が行われた現場に踏み込むなど、人間性を失っていくルイスは、やがて殺人事件に巻き込まれていくが、、、
*出典元:https://www.bbc.co.uk/
撮影にあたって12kgもの減量を行ない、ギョロ目の病んだ雰囲気でモラルに反した金儲けに邁進する「報道パパラッチ」を不気味に演じたギレンホールですが、この映画で彼が身に着けているのは、ブライトリング クロノマット エヴォリューション(Ref.A13356)。劇中では「盗んで手に入れた腕時計」であることが描かれています。元は他人の腕時計で、ルイス本人は病的に痩せた男。腕時計はユルユルな状態で着け続けられており、それを気にしないルイスの異常性を表現しています。44mmのビックケースと滑らかなブライトリングの5連ブレスがユルユル感に一層の輪をかけておりますが、それを狙ってこの時計をチョイスしたのなら、小道具係のファインプレーと言えるでしょう。
*出典元:https://productplacementblog.com/
ちなみに、本作『ナイトクローラー』プロモーションのためのインタビューでは、ギレンホールはロレックス ミルガウス(Ref.116400GV)を着用。こちらもユルめで着けております。もしや劇中のユルユル感も「ただの好み」だったのか…?
*出典元:https://www.hodinkee.com/
ミッション:8ミニッツ
Source Code(2018)
シカゴ行きの通勤電車内で発生した爆破テロ。アメリカ陸軍パイロットのスティーブンス大尉が電車内で目を覚ました8分後の出来事だった。爆発後にスティーブンスが目覚めると、実はその体験はテロの被害者の脳に残っていた「最後の8分間」の記憶をスティーブンスの脳で再現したものであると上官に告げられる。何人もの「最後の8分間」を追体験することで、スティーブンスは爆弾テロの真相に近づいていく。
*出典元:https://it.wikipedia.org/
同じ時間を繰り返す、いわゆる「タイムリープ」SF映画である本作。被害者の記憶の中でスティーブンス大尉が着けている腕時計は、ヴィクトリノックス スイスアーミー クロノクラシック(Ref.241300)のようです。マルチツールやサバイバルナイフの老舗メーカーとして知られる、スイスの「ヴィクトリノックス」の手による、アナログ針とデジタル表示を兼ね備えた堅牢な「アナデジ」腕時計。
*出典元:https://bestwatchbrandshq.com/
「最後の8分」が繰り返される映画だけに、ギレンホールはこの腕時計のタイマーを8分にセットし、劇中では繰り返し何度も何度も、残り時間を確認することになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
夢遊病の高校生、連続殺人事件を追う強迫観念に取り憑かれた男、野心のためにモラルも捨てた病み男、他人の記憶を見せられる男と、腕時計をキーワードに調べた結果、期せずして「精神に問題を抱えている男」の役ばかりが並びました。これはすなわち「腕時計はその者の内心を表現するもの」だからと言えるでしょう。
*出典元:https://www.cultura930.com.br/
特に『ナイトクローラー』の、腕時計そのものではなく、腕時計の着け方で狂気や異常性を表現するというのは、中々に斬新な目から鱗の着けこなしに思えました。
さて、スパイダーマン最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、事件のきっかけとなるミステリオを演じるギレンホール。今後もどんな「狂気」を見せてくれるのか?その「狂気」に見合う、どのような時計を選んでくれるのか、楽しみにしたいと思います。
ではまた!