映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第141弾の今回は、「ドニー・イェンの腕時計」をお送りします。

ジャッキー・チェン主演作『酔拳』(1978)の監督であり、また『マトリックス』(1999)や『キル・ビル』(2003)など、ハリウッド映画における武術指導でも知られる香港映画界の重鎮、ユエン・ウーピン。彼に見いだされ、多くの作品で主演を務めたドニー・イェンは、2000年代にはハリウッドへも進出。いまや香港映画界のみならず、ハリウッドでも最も人気のあるアジア人スターと言っても過言ではありません。

*出典元:https://www.ign.com/

彼の活躍の場は、功夫映画や犯罪映画だけに留まりません。スター・ウォーズシリーズのスピンオフ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)では、杖一本で10人以上のストームトルーパー相手に無双する盲目の僧侶、チアルートを熱演。これにより付いた仇名が「宇宙最強の男」。

今回は、そんなドニー・イェンが劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

スペシャルID 特殊身分

SPECIAL ID(2013)

*出典元:https://flixlist.co/

香港警察のロン(ドニー・イェン)は、裏社会のボスであるホン(コリン・チョウ)の組織の一員となり、危険な潜入捜査を続けていた。そんなある日、かつてロンの弟分だったサニー(アンディ・オン)が組の麻薬を奪って逃走するという事件が起きる。ホンと香港警察の双方からサニー確保を命じられたロンは、サニーの潜伏先とみられる中国本土の広東省に向かう。

表向きは裏社会の一員としてサニーを追いながら、中国警察と協力して事件を解決する「特殊身分」となったロンは、中国本土のエリート女刑事、ジン(ジン・ティエン)と手を組み、サニーの行方を追う。

*出典元:https://themoviegoersblog.wordpress.com/

ドニー・イェンが「製作・アクション監督・主演」の三役を務めたクライムアクション『スペシャルID 特殊身分』(2013)。『SPL 狼よ静かに死ね』(2005)、『導火線 FLASH POINT』(2007)に続く、総合格闘技の要素を取り入れたドニー・イェンの「現代アクション三部作」の最終作にあたります。

犯罪組織への潜入捜査を行なっている刑事を演じるドニー・イェンが本作で着用している腕時計は、ロジェデュブイ パルジョン マイクロローター クロノグラフ (Ref.RDDBPU0003)。鍛え上げられ龍の刺青が入った腕には、これくらいパンチの効いたデザインの腕時計が相応しいでしょう。彼の「タダモノではない雰囲気」が強く押し出されています。

レイジング・ファイア/怒火

RAGING FIRE(2021)

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ベトナムマフィアと香港マフィアの麻薬取引現場に踏み込んだ香港警察の麻薬捜査チームは、突如現れた謎の5人組による銃撃でマフィアもろとも惨殺され、麻薬も強奪される。政治的圧力で今回の捜査から外されていた刑事ボン(ドニー・イェン)は、かつて後輩警官だったンゴウ(ニコラス・ツェー)がこの事件に関与している可能性に気づく。

4年前のある事件で、警察上層部の裏切りによって傷害致死容疑の汚名を着せられたンゴウたち5人の若手警官は、有罪判決を受け収監される。麻薬強奪犯の正体は、出所後に警察への復讐を誓った5人だった。復讐の鬼と化し、警察を挑発するンゴウたち。やがてその怒りの矛先は、警官時代の自分たちを救ってくれなかったボンとその家族にも向けられていく、、、

*出典元:https://www.xbiao.com/

ジャッキー・チェン主演『香港国際警察』(2004)などの作品で知られる名匠、ベニー・チャン監督。その遺作となった刑事アクション『レイジング・ファイア/怒火』(2021)で、ドニー・イェンは正義感溢れる肉体派刑事、ボンを演じています。

本作で彼が着用している腕時計は、カシオ エンティサー(Ref.MTD-100D。1万円前後で購入できる、カシオ製の海外向けクォーツウォッチです。本作に登場する主要人物の多くがカシオの腕時計を着けているので、公表はされていないようですが、カシオとのタイアップがあったのかもしれません。

ジョン・ウィック:コンセクエンス

JOHN WICK:CHAPTER 4 (2023)

*出典元:https://filmcombatsyndicate.com/

隠遁生活を送っていた伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)は、病死した妻が遺した愛犬をロシアンマフィアに殺されたことで、復讐のために裏社会へと舞い戻った。たった一人でロシアンマフィアを壊滅させ、復讐を果たしたジョン・ウィックだったが、世界最大の犯罪組織「主席連合」の掟を破ったため、彼は世界中の殺し屋から追われ、命を狙われる身となる。

裏社会からの自由を求めて「主席連合」との戦いを繰り広げながら、旧友のシマヅ(真田広之)の助力を仰ぐため大阪のコンチネンタルホテルを訪れたジョン・ウィック。しかしそこには、主席連合に娘を人質に取られたかつての友、盲目のヒットマン、ケイン(ドニー・イェン)の姿があった。

*出典元:https://productplacementblog.com/

かつて『マトリックス』でキアヌ・リーヴスのスタントマンを務めたチャド・スタエルスキが製作・監督を務め、盟友キアヌ・リーヴス主演で大ヒットを記録した『ジョン・ウィック』シリーズ。その4作目となる『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023)では、ドニー・イェンは、ジョン・ウィックの旧友にして、彼の命を狙う盲目のヒットマン、ケインを演じています。

劇中でケインが愛用している時計は、『ジョン・ウィック』シリーズのスポンサーでもあるカール F.ブヘラのポケットウォッチ(Ref.不明)。その裏蓋には、主席連合に人質に取られ、近づくことが叶わない娘の写真が入っています。

ちなみに『ジョン・ウィック』でキアヌ・リーヴスが着用している腕時計はコチラ。

☞#29 ハリウッドが誇る「いい人」キアヌ・リーヴスの腕時計 を読む

まとめ

いかがでしたでしょうか。

映画の中では功夫アクションなどの肉弾戦がメインのドニー・イエン。劇中で腕時計を着用している映画がそもそも少なく、リサーチには少々手こずりました。それでも、自ら製作を務める作品でロジェデュブイを選ぶあたり、彼の腕時計へのこだわりが感じられます。

オフショットではロレックス ヨットマスターⅡ(Ref.116680)シードゥエラー ディープシー Dブルー(Ref.116660)などを着用しており、高級腕時計の愛好家であることは間違いなさそうです。

*出典元:https://ar.europeanwriterstour.com/

ブルース・リーも学んでいた中国武術、「詠春拳」のマスターとして知られる実在の武術家の生涯を描いた功夫映画『イップ・マン』(2008)。主役のイップ・マン(葉問)を演じたドニー・イェンは、「イップ・マン以上の役は想像もつかないので、これを僕の最後の功夫映画にしたい」と語っていました。

言われてみれば、「宇宙最強の男」ドニー・イェンも60歳。『ジョン・ウィック:コンセクエンス』では、まだまだキレッキレのアクションを見せていましたが、これからはヒューマンドラマやサスペンス映画などに登場する「渋い」ドニー・イェンの姿も期待したいところです。

その際にはぜひエレガントなドレスウォッチで、新たな一面を見せてくれたら嬉しいですね。

ではまた!

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