*出典元:https://www.breitling.com/
映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第11弾の今回はヨーロッパのショービズ界と世界初の航空計算尺つきクロノグラフ、ブライトリング「ナビタイマー」の関係についてお送りしていきたいと思います。
セルジュ・ゲンズブールとナビタイマー
1960~70年代にかけて、フランスのポップミュージック界や映画界を牽引した仏ショービズ界きっての伊達男と言えば、セルジュ・ゲンズブールの名が挙げられます。
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彼は、歌手、作詞作曲家、俳優、映画監督として名を馳せ、大女優ブリジット・バルドーと浮名を流し、その後エルメスのバッグ「バーキン」の名の由来となった女優ジェーン・バーキンと結婚しました(女優のシャルロット・ゲンズブールは二人の娘です)。
しかし過度の飲酒や喫煙の影響などにより80年代にはエレン・バーキンと破局。
1991年に62歳で孤独にこの世を去った破滅型の天才アーティストでした。
そのセルジュ・ゲンズブールが晩年身に着けていたのは、レマニア1873を搭載したブライトリング ナビタイマー(Ref.81600)。これは妻であったジェーン・バーキンが選んだ時計と言われています。
*出典元:https://revolution.watch/under-the-cuff-serge-gainsbourg/
パンチングで肉抜きされたブレスレットはブライトリング社への特注で作られたプラチナ製。ゲンズブールの強烈な存在感にも負けない個性的な一本に仕上げられています。
2009年に本数限定で発表された「ナビタイマー 125周年記念モデル」はこの穴あきの「エアレーサーブレスレット」を装着したモデルとなっています。
イヴ・モンタンとナビタイマー
世界的大ヒット曲『枯葉』の歌い手として有名なフランスの歌手(出身はイタリア)イヴ・モンタンは『恐怖の報酬』(1953年)でカンヌ映画祭の主演男優賞を受賞し、映画『グラン・プリ』で三船敏郎と共演するなど世界的な俳優としても知られています。
*出典元:https://www.montres-de-luxe.com/La-menace-Yves-Montand-porte-une-Breitling-Navitimer_a3539.html
主演したカーアクション映画『メナース』(1977年)では愛する女性の冤罪を晴らす為に奔走するトラック運転手を演じましたが、その腕にはナビタイマーが着けられています。
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プライベートにおいてもナビタイマーを着用した写真が残されており、息子のバレンティン・モンタンもインタビュー等で「父の遺産はステージで着けていた帽子と古いブライトリング」と答えています。劇中で着用していたナビタイマーも彼の愛用時計だったのかもしれません。
マイルス・デイヴィスとナビタイマー
ルイ・マル監督のフランス映画『死刑台のエレベーター』(1958年)で緊迫感溢れるサウンドトラックを担当したジャズトランぺッターの帝王、マイルス・デイヴィスもナビタイマーの愛用者として知られています。
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60年代末頃からジェームズ・ブラウンやジミ・ヘンドリックスなどを愛聴するようになり、ファンクやロックの要素を取り入れたアルバムをリリースするなど、既成概念に囚われない音楽性から「ジャズの革命児」と言われるマイルス。
*出典元:https://www.reddit.com/r/Watches/comments/3hrww9/identify_miles_daviss_chrono_from_1969/
ベルトではなく極太のリストバンドに付け替えたナビタイマーを身に着け演奏している写真が残されています。
ジョン・クリーズとナビタイマー
世界中のコメディアンから「お笑いの世界はパイソン以前とパイソン以後に分けられる」と言われるほどの人気を誇ったテレビシリーズ「空飛ぶモンティパイソン」は、オチの無い複数のコントを切り絵アニメで繋ぎ、ひとつの作品のように仕上げるという斬新な手法でコメディの世界に革命を起こしました。
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その「空飛ぶモンティパイソン」を創ったイギリスの伝説的コメディグループ「モンティパイソン」の創立メンバーにして、コント『バカ歩き省』の大臣役を務め、また007シリーズの二代目「Q」としても知られるジョン・クリーズもナビタイマーを着用しています。
*出典元:https://www.watchuseek.com/threads/breitling-celebs.67946/page-11
まとめ
ハリウッドでもハリソン・フォードやジョン・トラヴォルタなど、ブライトリングの時計を愛用する俳優は少なくありませんが、ヨーロッパのショービズ界とナビタイマーの親和性の高さはハリウッドの比ではないように思えます。
移民の子であるセルジュ・ゲンズブール。
共産党の支持者だったイブ・モンタン。
既成概念に囚われず、ジャズに革命をもたらしたマイルス・デイヴィス。
英国王室までもコントでネタにした労働者階級出身のジョン・クリーズ。
こう並べてみると形は違えどナビタイマーは「エスタブリッシュメントへの反抗や抵抗」を象徴する時計として、階級社会であるヨーロッパのアーティストに受け止められていたのかもしれません。
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プロフェッショナルモデルであるにも関わらず、革ベルトと合わせやすく上品さがある。
また、サイズが大きく力強さを感じさせるが、計算尺の目盛りやインダイヤルが知性的な印象をもたらす。そして何より遠くから見ても一目でナビタイマーであることがわかるアイコニックな存在感。
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ナビタイマーは同じ上品さやエスプリを感じさせる時計であっても、貴族階級御用達のパテックフィリップやヴァシュロンコンスタンタンとは全く異なる「戦う民衆のための力強さと洗練さを兼ね備えた時計」として、これからも既成概念に囚われない革新的なクリエイターやアーティストからリスペクトされる時計でもあり続けるのでしょう。