みなさま、こんばんは!

今週も新連載の《今さら聞けないシリーズ》をお届けしていきたいと思います。この新企画では、高級腕時計にあまり詳しくない方、これから勉強していきたい方へ向けて「今さら聞けないよ!」といった、高級腕時計の基本的な事をわかりやすくお伝えしていきます。

第6回目となる今回は

高級腕時計入門編】:ケース』・『ラグ

時計の『ケース』とは、ムーブメントや文字盤、針、インデックスなど、すべてのパーツを収め、すべてのパーツを繋いでいる、時計本体そのもの。そして、その形状によっては時計の印象を大きく左右する重要なパーツとも言えるでしょう。そんな『ケース』と密接な関わりを持つ『ラグ』は、『ケース』とベルトを繋ぐ重要な役割を果たしています。今回は『ケース』と『ラグ』、それぞれの役割や形状について改めて解説していきたいと思います。

『ケース』の役割

ケース』=「全てのパーツを収め、繋ぐ、外側の容器

『ケース』にはステンレススチールをはじめ、ゴールド、プラチナ、チタン、カーボンなど、多くの素材が使用されており、ブランドによっても独自の素材を生み出しています。ラウンド、スクエア、レクタンギュラー、トノー、クッションなど、その形状もさまざまです。

『ラグ』の役割

ラグ』=「時計本体とベルトを繋ぐパーツ

『ラグ』は、時計本体とベルト/ブレスレットを繋ぐ役割を果たしており、『ホーン』、『アタッチメント』、『足』と呼ばれることもあります。その形状や幅の違いによって、時計の印象はカジュアルにも上品にも変わります。

『ケース』の形状

続いて代表的な『ケース』の形状について解説します。

ラウンド

「ラウンド」は、最も馴染み深い丸型の『ケース』です。腕時計よりも歴史の長い懐中時計が「ラウンド」形だったことから、腕時計も「ラウンド」ケースが一般的になっていると考えられています。中央部から外周部までの距離が均等で気密性が高いのも特徴です。

代表モデル

パテックフィリップ】『カラトラバ

レクタンギュラー

「レクタンギュラー」とは、長方形の『ケース』を指します。1920年代頃に登場し、知的でエレガンスな印象を与え、ジャケットスタイルなどフォーマルなスタイルと相性が良いとされています。

代表モデル

ジャガールクルト】『レベルソ

トノー

「トノー」とは、樽のような形をした『ケース』を指します。1910~1930年に流行した幾何学図形をベースにした「アールデコ」のデザインです。一口に「トノー」形といっても、ブランドやモデルによって、長さや膨らみの形状が異なり、印象も大きく変わってきます。

代表モデル

リシャール・ミル】『ラファエル・ナダル

スクエア/カレ

「スクエア/カレ」とは、正方形の『ケース』を指します。ラウンド形とは異なり、目を引く形状でありながら、フォーマルシーンでも付けやすいバランスの良さが魅力です。

代表モデル

タグホイヤー】『モナコ

オーバル

「オーバル」とは、楕円形の『ケース』を指します。レディースウォッチに多く存在し、ゴールド素材が用いられることも多く、高級感ある上品なデザインが特徴です。

代表モデル

オーデマピゲ】『ミレネリー

クッション

「クッション」とは、丸みを帯びた四角系の『ケース』を指します。文字盤は丸形であり、スポーティーなモデルであってもどこかクラシカルな雰囲気を漂わせます。

代表モデル

パネライ】『ラジオミール

オクタゴン

「オクタゴン」とは、八角形の『ケース』を指します。【オーデマピゲ】の『ロイヤルオーク』が有名ですが、「オクタゴン」自体の歴史は1920年頃から始まっており、当時の【ロレックス】の時計によく見られます。立体的かつエッジの効いたフォルムは、スポーティでありながらも上品な印象をもたらすデザインです。

代表モデル

オーデマピゲ】『ロイヤルオーク

『ラグ』の形状

続いて、『ラグ』の形状について解説します。『ラグ』の形状は大きく3種類に分けられます。

『ラグ』無し

1つ目は、時計本体に直接ベルトをつけている『ラグ』無しのタイプです。アンティークのゴールド素材の時計や、デザイン性を重視したモデルに見られます。

代表モデル

パテックフィリップ】『ゴールデンエリプス

一体型

2つ目は、時計本体と『ラグ』が一体化したタイプです。『ケース』と一体化することで、丈夫で堅牢性の高い時計作りが可能となります。スポーツウォッチに多く採用されております。

代表モデル

ロレックス】『デイトナ

溶接型

3つ目は、時計本体に後から『ラグ』を溶接して付けたタイプです。『ケース』と製造工程が別れるため、太さや幅など、一体型よりもデザインの自由度が高くなります。

代表モデル

A.ランゲ&ゾーネ】『ランゲ1

まとめ

『ケース』と『ラグ』の役割と形状について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

時計のムーブメントや文字盤を収める『ケース』、そしてその『ケース』とベルト/ブレスレットを繋ぐ『ラグ』は、意外と注目されませんがとても重要なパーツです。形状によっても、時計の印象を左右しますので、これからは『ケース』や『ラグ』も改めて注目していただけたらと思います。

今回もこの記事をご覧頂いたことで、高級腕時計に興味を持っていただければ幸いです!

ではまた!

コミットtv 八木コラム