皆さま、こんばんは。

ラグジュアリースポーツウォッチ(以下:ラグスポ)の二大巨頭

パテックフィリップ】『ノーチラス』/【オーデマピゲ】『ロイヤルオーク

時計好きの間では、どちらの方が優れているか!?なんて論争が度々巻き起こり、同時期に、同じデザイナーによって生み出された2つの時計は、近年の高級時計の価格高騰を牽引し、その注目度は説明不要かと思います。

今回は、この両者をさまざまな観点から徹底比較してみたいと思います。『ノーチラス』と『ロイヤルオーク』についてもっと知りたい!という方は特に見ていただきたい内容になっていますので、是非とも最後まで楽しんでご覧ください。

『ノーチラス』とは?『ロイヤルオーク』とは?

パテックフィリップ】『ノーチラス

1976年に誕生した、【パテックフィリップ】初となるスポーツウォッチ『ノーチラス』。

極限まで着け心地に拘り、ケース本体と裏蓋を一体化することで、ケースの薄型化を実現し、120m防水を備えたその画期的な時計は、発表当時大きな話題となりました。潜水艦の船窓からインスピレーションを得た八角形のベゼルと、左右に飛び出た突起(耳)が、デザインの特徴です。いくつかの文字盤パターンがございますが、ブルー文字盤が圧倒的な人気を誇り、その人気から、二次流通市場では定価を遥かに超える価格が付いています。今では容易に手に入れることができない雲上モデルとしてその名を轟かせています。

オーデマピゲ】『ロイヤルオーク

1972年、【オーデマピゲ】から誕生した『ロイヤルオーク』。

それまでの高級時計と言えば、ゴールドやプラチナ素材、また宝飾を使用したモノが主でしたが、ステンレススチール素材を用い、大型のケースサイズを採用して登場したこちらは、当時のスポーツウォッチの概念を覆すものでした。ブレスレットと一体型になったケース、八角形のベゼルとビスが特徴で、現在ではラグスポ時計の代表として高い人気を集めています。

ジェラルド・ジェンタ

『ノーチラス』と『ロイヤルオーク』は、ブランドも登場年も異なりますが、共通点が多い時計であります。その理由は、時計界のピカソと評された”ジェラルド・ジェンタ”氏によって、どちらもデザインされた時計であるからです。

“ジェラルド・ジェンタ”氏は、元々ジュエリーデザイナーでしたが、自身がデザインした時計が賞を受賞したことによって、徐々に仕事のボリュームを時計へと移行していきます。大きな転機となったのは、1972年の『ロイヤルオーク』。こちらは、”ジェラルド・ジェンタ”氏が当初デザインしたドローイングとほとんど変わらない状態でリリースされていたのです。

※Ref.5402

また、”ジェラルド・ジェンタ”氏は時計の着け心地に拘ったことでも有名です。『ロイヤルオーク』は角張った形をしながら、袖口に引っかからないようにデザインされており、これは、後に登場する『ノーチラス』にも引き継がれています。

『ロイヤルオーク』と『ノーチラス』を徹底比較

今回は、見た目やスペックが近い『ノーチラス』「5711/1A-010」と『ロイヤルオーク』「15500ST.OO.1220ST.01」を比較していきます。

◇スペック・ムーブメント

まずは、機械式高級時計の心臓であり、各会社の技術力の証でもあるムーブメント。

※『ロイヤルオーク』「15500ST.OO.1220ST.01」「Cal.4302」

発売当時、『ロイヤルオーク』は【ジャガールクルト】製の「Cal.2121」を使っていましたが、現在は自社製ムーブメント「Cal.4302」を搭載しております。パワーリザーブは約70時間で振動数は28,800/時。

※『ノーチラス』「5711/1A-010」「Cal.26-330 S C」

対する『ノーチラス』は「Cal.26-330 S C」を搭載し、パワーリザーブは約45時間、振動数は28,800/時。

裏蓋はどちらもシースルーバック。その美しいゴールド製ローターを見ることができます。

※『ノーチラス』「5711/1A-010」「Cal.26-330 S C」

『ノーチラス』の21Kローターには【パテックフィリップ】のブランドロゴ

※『ロイヤルオーク』「15500ST.OO.1220ST.01」「Cal.4302」

『ロイヤルオーク』の22Kローターには【オーデマピゲ】のロゴと創業者の紋章がそれぞれ刻印されています。

◇ケース・ベゼル

両者の共通点として、素材にSS(ステンレススチール)を使用している点が挙げられます。

※『ノーチラス』「5711/1A-010」

全体的な印象としては、『ノーチラス』のケースラインは流れるような曲線美で優美な印象。

※『ロイヤルオーク』「15500ST.OO.1220ST.01」

一方『ロイヤルオーク』はエッジが立ったケースラインが特徴で、洗練されたスタイリッシュさを表現している印象です。

※『ノーチラス』「5711/1A-010」

ケースサイズは『ロイヤルオーク』のほうが1mm大きいですが、それほど大きな違いは感じられません。その理由として、『ノーチラス』にある”左右に飛び出た突起(耳部分)“が挙げられます。先述のスペックとも関係してきますが、この耳部分によって「120m」という高い防水性を実現し、視覚的にもサイズ感の違いを感じにくいのかと思います。

そして、もう一つポイントとなるのがケースの厚みです。腕馴染みは8.3mmという『ノーチラス』の着け心地は、他に類を見ない滑らかなものであると言えるでしょう。

◇文字盤

文字盤は、ブランドの拘りが最も現れるパーツの一つ。

※『ノーチラス』「5711/1A-010」

『ノーチラス』は「水平エンボス加工」。

※『ロイヤルオーク』「15500ST.OO.1220ST.01」

『ロイヤルオーク』は「グランド・タペストリー」と呼ばれる正方形状の加工。

ロゴマークが12時位置にある『ロイヤルオーク』に対し、『ノーチラス』はブランド名のみ。針・インデックスは『ノーチラス』の夜光部分の方が太いため、暗闇での視認性は優れています。『ロイヤルオーク』は視認性よりもデザインを優先したと言えるでしょう。

◇ブレスレット・装着感

時計のケースとブレスレットはラグで繋ぐのが一般的だった時代に、ケースとブレスレットを一体型にするという斬新なデザインを確立した『ノーチラス』と『ロイヤルオーク』。

※『ノーチラス』「5711/1A-010」

『ノーチラス』はヘアライン鏡面仕上げ、バックルを観音開き仕様に。

※『ロイヤルオーク』「15500ST.OO.1220ST.01」

『ロイヤルオーク』はヘアライン仕上げ、バックルをプッシュボタン式の仕様に。

それぞれに特徴があり、細部に違いが見られますが、着用感は『ノーチラス』が腕に馴染むような、しなやかなブレス。『ロイヤルオーク』はしっかりとホールドされているような、重厚感と存在感を感じるブレスといったところでしょうか。

◇定価と中古相場

最後は定価と中古相場。

みなさんご存知の通り、どちらも中古相場が異常なことがお分かりいただけるかと思います。定価から考えると

『ロイヤルオーク』が約2.7倍
『ノーチラス』に至っては約3.9倍

と、ひと昔前では考えられない価格となっております。

これは、高級時計が実物資産として世界中で認められた証であります。すべては需要と供給で成り立っているので、価格が高騰するということは、それだけ『ノーチラス』と『ロイヤルオーク』の人気が高いということでもありますね。

まとめ

以上、『ノーチラス』と『ロイヤルオーク』を、さまざまな角度から比較してみましたが、いかがでしたでしょうか。

世界三大時計ブランド、且つ同じデザイナーから生み出されたラグスポを代表する二本は、改めてそれぞれにそれぞれの良さがあることを実感出来たのではないかと思います。

圧倒的な希少性で異常なまでの価格高騰が起こっている大人気の『ノーチラス』。
今年50周年を迎えて更に人気と注目度が高まっている『ロイヤルオーク』。

ぜひ機会があれば、どちらも店頭にて実物を御覧いただければと思います。

今回もこの記事を見ていただいたことで、『ノーチラス』と『ロイヤルオーク』に興味を持っていただければ幸いです。

ではまた!

コミットtv 八木コラム