皆様こんばんは!

本日は時計の心臓=ムーブメントについてお話ししていきたいと思います。

時計を楽しむ上で、一つの醍醐味でもあるムーブメント。複雑に組み合わされた数百のパーツたちが織り成す造形美は、見る者を魅了する芸術品と言えるでしょう。時計の内側に備えられたその姿は、まさに裏の顔=影の立役者に違いありません。

今回は各メーカーでも名機と呼ばれたムーブメントを5つピックアップし、その機能や美しさをご紹介していきます。ぜひ最後まで楽しんでご覧ください!!

Ⅰ.【ロレックス】「Cal.4030」

代表的な搭載モデル

1.DAYTONA『デイトナ』「Ref.16520」
2.DAYTONA『デイトナ』「Ref.16528」
3.DAYTONA『デイトナ』「Ref.16519」

※「Ref.16520」

特徴

【ロレックス】初の自動巻きクロノグラフムーブメントとして、【ゼニス】社の《エルプリメロ》をベースに開発された「Cal.4030」。

《エルプリメロ》最大の特徴であった毎時36,000振動のハイビートを、28,800振動まであえて落とした点は、耐久性を重視する【ロレックス】らしい開発として有名な話です。また、実際に加えられた変更点はそれ以外にも多数あります。◯◯ベースと聞くと「元のムーブメントに小さな変更を加えただけ」とお考えの方も多いかと思いますが、「Cal.4030」はおおよそ200か所に及ぶ改良をした【ロレックス】オリジナルムーブメントと言っても過言ではない逸品なのです。そう言ったところが、名ムーブメントと称される所以かもしれませんね。

Ⅱ.【ロレックス】「Cal.1570」

代表的な搭載モデル

1.『エクスプローラー』「Ref.1016」
2.『GMTマスター』   「Ref.1675」
3.『サブマリーナー』   「Ref.1680」
4.『デイトジャスト』   「Ref.1601」
※「Cal.1575」等派生Cal.を含む

※「Ref.1016」

特徴

実績ある「Cal.1560」の振動数を、毎時18,000振動から19,800振動にアップさせたのが、【ロレックス】ロービートムーブメントの最高傑作と呼ばれる「Cal.1570」。

このムーブメントの特徴は、なんと言っても耐久性精度のバランスに優れるところです。誕生からすでに50年以上の歳月が経過していますが、「Cal.1570」を搭載した多くの【ロレックス】が、いまだに現役バリバリで活躍しています。メンテナンスに関しても、現在進行形で修理受付可能ですし、仮にメーカーで受付終了となってしまっても、信頼のおける工房が多数ありますので、長く安心して使用できるムーブメントです。

Ⅲ.【パテックフィリップ】「Cal.CH27-70 Q」

代表的な搭載モデル

グランドコンプリケーションモデル
1.『パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ』「Ref.3970」
2.『パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ』「Ref.5970」
3.『パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ』「Ref.5004」

※「Ref.3970」

特徴

【ヌーベル・レマニア】社製のエボーシュ「Cal.2310」を改良し、近代的な設計の永久カレンダーモジュールが加えられて誕生した「Cal.CH27-70 Q」。

その美しさは「世界で最も美しいムーブメント」と称され、性能面においてはクロノグラフの確実な動作と信頼性の高い永久カレンダー、特許取得のジャイロマックス・テンプと緩急針を持たないフリースプラング・ブレゲ髭ゼンマイの組み合わせなど、【パテックフィリップ】らしさが全面に出た名ムーブメントに仕上がっております。

Ⅳ.【オーデマピゲ】「Cal.2121」

代表的な搭載モデル

1.『ロイヤルオーク』ジャンボ      「Ref.5402ST」
2.『ロイヤルオーク』ジャンボ ジュビリー「Ref.14802ST」
3.『ロイヤルオーク』エクストラシン   「Ref.15202ST.OO.1240ST.01」

※「Ref.15202ST」

特徴

【ジャガー・ルクルト】社製のエボーシュ「Cal.920」を改良して作られた、2針の『ロイヤルオーク』に搭載される歴史あるムーブメント「Cal.2121」。

時計史に残る傑作ムーブメントと言われる「Cal.2121」は、”薄さ”を実現するために、大幅なコストと労力を要した超高級ムーブメントです。

負担が掛かるローター芯部分のスペースが狭いため、芯を細くし、ローター外周にレールを設け、地板の外周部に埋め込まれたルビーベアリングの上を滑らせる構造としました。この構造にすることで、ローターを支えることができ、巻き上げ効率を確保することに成功しています。当時、このルビーベアリングは超高級機に用いられる部品とされ、コストが非常にかかるモノとされていました。【オーデマピゲ】がこのムーブメントに並々ならぬ思いを込めていたことは言わずもがなですね。まさに、名機となるべくしてなったと言えるでしょう。

Ⅴ.【A.ランゲ&ゾーネ】「Cal.L901.0」

代表的な搭載モデル

1.『ランゲ1』「Ref.101.021」
2.『ランゲ1』「Ref.101.039」
3.『ランゲ1』「Ref.101.032」

※「Ref.101.032」

特徴

1992年発表の【ジャガー・ルクルト】「Cal.822」をツインバレル化し、改良されて製作されたのが「Cal.L901.0」。

こちらは、『ランゲ1』の特徴でもあるアウトサイズのカレンダー表示を実現し、ロングパワーリザーブも備え、機能性の高さを証明したムーブメント。シースルーバックから覗くテンプ受に施された装飾と、その上に設けられたスワンネック緩急針は、見飽きることがなく美しいのひと言です。また、信頼性の高い「Cal.822」をベースに次々と派生ムーブメントを生み出し、【A.ランゲ&ゾーネ】復興後の快進撃を支えた歴史に残る名機と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

高級時計において心臓と言われるムーブメント。改めて各メーカーの名ムーブメントを紹介させていただき、その美しさに思わず見惚れしまいました。

何十年・何百年と使用していける技術の粋を集めたムーブメントには、各メーカー・各モデルに素敵なバックボーンがあり、製作までの物語を知ることで更に高級時計の魅力を感じることができると思います。

高級時計をまだあまり知らない方はムーブメントに触れる機会があまりないかと思いますが、ぜひこの記事を見ていただいたことで、ムーブメントにも興味をもっていただき、高級時計の素晴らしさを感じていただければ幸いです。

ではまた!

コミットtv 八木コラム