みなさま、こんばんは!

高級腕時計には、”クロノメーター”や”ジュネーブシール”等、時計の精度・品質を保証するための規格が存在します。近年では、高水準の規格を適用するメーカーも増えてきており、市場に出回っている時計は、ほぼ全て高品質なモノであると言っても過言ではありません。

そんな中、今回は特に厳しい自社規格を設けている【グランドセイコー】【ロレックス】【パテックフィリップ】の3社に焦点を当て、お話ししていきたいと思います。各ブランドのファンの方はもちろん、高級腕時計についてより詳しく知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください!

【グランドセイコー】の自社規格
「GS規格」

参照:グランドセイコー公式HP

代表的な規格の1つである”クロノメーター”は、スイスで製造されたムーブメントにしか適用されないというルールがあります。【グランドセイコー】は当初、クロノメーターを名乗っていたものの、スイス公認試験を受けていないとのことで、スイス側から批判を受けてしまいました。そこで、”グランドセイコー規格(GS規格)”と呼ばれる、独自の厳しい検査基準を制定することとなります。

特徴

参照:グランドセイコー公式HP

【グランドセイコー】の検査は、塵や埃が一切ないクリーンルーム工房にて実施されます。ここでは、黄綬褒章や卓越技能賞を受賞した職人たちを筆頭に、約20名の時計技能士が作業を実施します。

参照:グランドセイコー公式HP

クロノメーターでは”5つの姿勢差で15日間”の検査を行いますが、GS規格の場合、”6つの姿勢差で17日間“の検査を実施します。精度においても、クロノメーターは”日差-4~+6秒”以内が合格基準なのに対し、GS規格では”日差-3~+5秒”以内という厳しい基準が設けられています。この徹底した管理と厳しい条件をクリアした時計のみが、販売されることを許されるのです。

参照:グランドセイコー公式HP

さらに厳しい「GSS規格」

参照:グランドセイコー公式HP

【グランドセイコー】には、GS規格よりもさらに厳しい”グランドセイコースペシャル(GSS)規格“も存在します。熟練の時計技能士が通常の何倍もの時間をかけ、”日差-2~+4秒”という精度基準に持っていきます。相当な労力を掛けているため、”GSS規格”の時計は1年間にほんの僅かしか生産できません。この厳しい検査に通過したモデルは、文字盤6時位置に”SPECIAL”と表記されております。

ロレックス】の自社規格
「ロレックス高精度クロノメーター」

参照:ロレックス公式HP

【ロレックス】は2015年に”ロレックス高精度クロノメーター”という自社規格をスタートしました。ムーブメントはクロノメーターから認定を受けたものを使用することが前提で、さらにそこから、より厳しい検査を行います。

特徴

参照:ロレックス公式HP

クロノメーターがムーブメントのみで検査を行なっているのに対し、【ロレックス】では実際の使用状況を考慮して、ケーシング後に検査を実施します。その内容は、精度、持続時間、防水検査など、着用状態で最大のパフォーマンスを発揮することを証明するために、”7つの静止姿勢と回転装置“で検査を行います。

参照:ロレックス公式HP

クロノメーターではケーシング前の状態で”日差-4+6秒”なのに対し、”ロレックス高精度クロノメーター”では、ケーシング後の状態で”平均日差-2+2“を基準としています。付属品のクロノメータータグは、以前はレッドだったのに対し、現在は、新基準のモデルへはグリーンのタグが付けられております。【ロレックス】が世界中の人に愛され、長く愛用される根底は、この徹底した品質によるものだということがお判りいただけるかと思います。

【パテックフィリップ】の自社規格
「パテックフィリップ・シール」

参照:パテックフィリップ公式HP

クロノメーター規格と並んで有名なのが”ジュネーブシール”です。これは600時間に渡るテストと、12の条件をすべてクリアした、最高級のスイス時計の証と言われております。【パテックフィリップ】では、2009年にこの認定基準をさらに超えた独自の品質基準”パテックフィリップ・シール”を発表しました。

特徴

参照:パテックフィリップ公式HP

ジュネーブシールでは、精度や検査基準に加え、歯車・脱進機の受けにルビー石を使用することや、ゼンマイとバネの面取りは機能部の摩耗を防ぐために、周囲の部品に対しても行うことなど、部品毎の規定が存在しています。

一方で”パテックフィリップ・シール”は、これを更に超える検査基準とされており、精度やムーブメント、外装の品質はもちろんのこと、仕上げ方法や検査方法、さらにはアフターサービス時の対応に至るまで、より厳しい規定が設けられているのです。

参照:パテックフィリップ公式HP

その基準の厳しさは【パテックフィリップ】の時計が出荷されるまでに、数百に至る検査を通過しなければならないと言われるほどです。どれだけ複雑な機構だとしても、”日差-3~+2秒”という極めて高い精度を誇ります。高級腕時計界トップレベルに君臨する【パテックフィリップ】の基準は、部品1つ1つにまでこだわった、世界最高レベルだと証明していますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

各ブランド毎のこだわりが感じられる、非常に厳しい基準が設定されていることがお判りいただけたかと思います。要するに、世に出回っている高級腕時計は、難関とも言える基準をクリアした、まさに”精鋭たち”と言えます。そんな精度・品質に優れた”精鋭たち”は、言わずもがな、愛着も一層高まること間違いありません。頭の片隅にでも”精鋭たち”というワードを想像し、今後の時計選びを楽しんで下さい。

最後に、今回も本コラムを見て下さったことで、一人でも多くの方が高級腕時計に興味を持ってくだされば幸いです!

ではまた!

コミットtv 八木コラム