皆さま、こんにちは。

今回は、復活を遂げたスイスの高級時計ブランド【チャペック】についてお話ししていきたいと思います。

【パテック・フィリップ】との縁もあり、【チャペック】は近年時計好きのコレクターから注目を浴びているブランドです。そんな魅力あふれる【チャペック】は、大きく分けて4つのコレクションラインが存在します。その代表的なモデルの紹介を含めて、二回に分けてお話ししていきますので、是非とも最後までお楽しみください。

第一回目となる今回は、【チャペック】の歴史と人気コレクション『アンタークティックをご案内いたします。

【チャペック】とは

チェコ生まれのポーランド人時計師、フランソワ・チャペック「Francois Czapek」。彼はポーランドで暴動が起きた後、スイスに亡命し、1832年に地元の時計メーカーとともに、最初の会社《チャペック & モロー社》を設立します。

その4年後にあたる1836年、軍隊に所属していたもう一人のポーランド人亡命者、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックと出会い、1839年に彼とともに現在の【パテック・フィリップ】の礎となる《パテック・チャペック社》を立ち上げました。当時は、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックがセールス部門と管理部門、フランソワ・チャペックがウォッチメイキングに専念する体制だったようです。

二人は6年間のパートナーシップを結んでおり、1845年にフランソワ・チャペックは《パテック・チャペック社》を離れます。そして、新パートナーである、ユリウシュ・グルツェフスキ「Juliusz Gruzewski」とともにスイスのジュネーブに創業したのが【チャペック】です。多くの顧客を持つ優れた時計師であったチャペックは、ナポレオン3世の宮廷時計職人となり、ジュネーブ、パリのヴァンドーム広場、ワルシャワに工房を構えるまでに至りました。

しかし、約25年の月日が流れた1869年にブランドは突如休業。以降、フランソワ・チャペックは消息不明となってしまいます。

一世紀以上の期間が過ぎた2012年。ザビエル・デ・ロックモーレル(中央)、ハリー・グール(右)、時計師のセバスティアン・フォロニエによって、ブランドの再興が図られました。5年もの期間を費やしましたが、この時、多くの人が【チャペック】の復活を望んでいたことが証明されることが起きます。それは、なんと世界中の時計愛好家100人以上から、クラウドファンディングにより300万スイスフランもの資金を調達し、復活を遂げたのです。

2017年に、復活第一弾として発表された『ケ・デ・ベルク』は、1850年に製作された懐中時計「No.3430」を手本とし、新たに設計、製造したムーブメントを搭載していました。

また、次回詳しくご紹介しますが、2017年発表の『プラス・ヴァンドーム』は、過去にブティックを構えたことのあるパリのヴァンドーム広場にちなんで命名されたモデルです。そして、2018年にはブランド初となるクロノグラフ『フォーブル・ド・クラコヴィ』も発表します。

*写真は同社初のクロノグラフ『フォーブル・ド・クラコヴィ』

このようにして【チャペック】の歴史は築かれてきましたが、早速、人気コレクション『アンタークティック』を見ていってみましょう。

【Antarctique】アンタークティック

【チャペック】初のラグジュアリースポーツコレクション『アンタークティック』。実は海外有名時計サイト”クロノ24”のCEO、ティム・シュトラッケも【ロレックス】に代わるオススメ腕時計として紹介するほど、その注目度は上がっております。

一体型ブレスレットを採用し、【チャペック】の頭文字をかたどったCシェイプ、メゾン復活第一弾である『ケ・デ・ベルク』同様、ケースサイドの溝も大きな特徴ですね。

この『アンタークティック』には『パサージュ・ドゥ・ドレーク』と『ラトラパンテ』というラインがありますので、ひとつずつ見ていきましょう。

Ⅰ.『パサージュ・ドゥ・ドレーク』

世界一周を果たしたとされるイギリスの探検家サー・フランシス・ドレークにちなんで名付けられた『パサージュ・ドゥ・ドレーク』。ドレーク海峡は、ホーン岬(南アメリカの最南端)と南極のサウスシェトランド諸島の間の大西洋と太平洋をつないでいる海峡です。ちなみに、『アンタークティック』は英訳すると「南極」を指します。

3次元に刻印したギョーシェ彫りと、全体に影の陰影と遊びを作り出す非定型のトラぺゾイド(台形)モチーフを組み合わせて作ったユニークなフランケ・ダイヤルは「Stairway to Eternity(永遠への階段)」と名付けられました。

ちなみに、このユニークなダイヤルの誕生は「ある時、私たちのデザイナーが誤って台形のモチーフを50%大きくしてしまったことがあったのです。それを見て、ようやく完璧なモチーフが見つかったと思いました。それはとても素晴らしく、間違いから生まれた美しさです。」と述べられています。じっくり見ると、「永遠への階段」の名のように、上へ向かっているのか、下へ向かっているのか錯覚を覚える、不思議な魅力を持ったモチーフとなっています。

デイト表示は6時位置に配置され、垂直対称に基づく【チャペック】の美学を体現していますね。針は、剣を彷彿とさせるスポーティーで読みやすいデザインを採用し、40.5mmのSS(ステンレススチール)ケースは、ラグジュアリースポーツモデル第一弾として発表された『アンタークティック・テール・アデリー』のデザインを踏襲しています。

ちなみに、オプションで針およびブレスレットの仕上げを選ぶことができる点も嬉しいところですね。秒針はフルレッド、シルバー、先端レッドがあります。

実は、直近の2022年2月に新ダイヤルが発表されています。限定99本で発表されたサーモンダイヤル仕様の『パサージュ・ドゥ・ドレーク』は、発表時に既に完売しているというのだから、その人気と注目度に驚かされます。(※同時に発表されたアイスブルーに似た美しい「グレイシャー・ブルー」は公式サイトにも掲載されております。)

カーフストラップorラバーストラップが付属され、昨年末に導入された新しいマイクロ・アジャストメント機構が装備されたことで、容易にブレスレット交換が出来るようになりました。

【出典】チャペック

Ⅱ.『ラトラパンテ』

『ラトラパンテ』とはフランス語の「追いつく」を意味する動詞「Rattrapage」を語源とし、2本のクロノグラフ針により、中間タイムや1位、2位等二つの時間を計測する事ができる機構のことです。

2015年以降【チャペック】は、洗練された技術とデザイン美学のバランスを取りながら、アンタークティック・ラトラパンテを構想してきたようです。こちらのスプリットセコンドクロノグラフは、チャペック社の理想を形にしており、
「私たちの愛好家を驚かせるような、スポーティーかつエレガンスを凝縮したモデルとして2020年にリリースしました。プロジェクトのルーツは会社の設立にまで遡り、2012年に、チャペックという名前の再登録の一環として、バルジューCal.7733を搭載した限定版のクロノグラフを発売し、プロジェクトの資金を調達する方法として、いくつかの時計を友人に販売しました。」
と、CEOのザビエル・デ・ロックモーレルは述べています。

また、
あるバイヤーが、ムーブメントの動きの美しさに気づきました。これにより、ダイヤル側にスプリットセコンドクロノグラフのメカニズム(機構)を見せるオープンワークのクロノグラフを作るというアイデアが生まれた。
とも語っています。

クロノード社と共同で製作された自社製ムーブメント「Cal.SHX6」を搭載し、クロノグラフを容易に操作できるように配慮されながら設計され、コラムホイール、クランプ、水平クラッチ、レバー等の動作が見えるようになっている点が、機械式時計好きの心をくすぐりますね。

こちらの『ラトラパンテ』も、先ほど同様に針の仕様を選ぶことが可能です。ストラップも豊富に種類があり、組み合わせる楽しみもまた魅力のひとつですね。

【出典】チャペック

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、今注目の人気急上昇ブランド【チャペック】について取り上げてみました。【チャペック】の名を初めて聞いた!という方もいらっしゃったかと思いますが、この記事を読んでいただいたことで、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

当店では、まだまだ取り扱いが少ないブランドではございますが、今後是非注目していきたいブランドです。次回は『ケ・デ・ベルク』、『フォーブル・ド・クラコヴィ』、『プラス・ヴァンドーム』コレクションをご案内いたしますのでお楽しみにお待ちください。

ではまた!

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