みなさま、こんばんは。

世界五大時計ブランドの一つブレゲ。日本においては【ロレックス】や【オメガ】の人気が根強く、知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、腕時計業界においては不動の地位を確立しています。それには、創業者のアブラアン・ルイ・ブレゲの存在を語らずして説明することは不可能です。

今回は、そんな【ブレゲ】の魅力を知ってもらうために、時計史における数々の発明や人気モデルをご紹介致します。「ブレゲの時計が気になる!」「名前は聞いたことあるけど詳しく知らない!」という方は、特に本記事を参考にしてみてください。

ブレゲとは?

1775年にスイスの時計師アブラアン・ルイ・ブレゲが創業した高級腕時計ブランド【ブレゲ】。美しいデザインと、圧倒的な時計製造技術によって、フランスを中心としたヨーロッパの貴族たちに愛されたことがきっかけとなり、世界五大時計ブランドと呼ばれるまでに発展してきました。

過去に取引した全てのお客様の”名簿”には、マリー・アントワネットナポレオン・ボナパルトナポリ王妃イギリス国王ジョージ4世など、歴史に名を残している人物たちの名前を確認することができます。

*出典元:https://www.webchronos.net/features/38996/

中でも”マリー・アントワネット“は【ブレゲ】の時計を特に気に入っており、1783年には「時間も費用も一切の制限を取り払い、複雑機構のすべてを盛り込んだ世界最高の時計を作って欲しい」と依頼します。これがきっかけとなり1827年に誕生したのが、伝説の時計とも呼ばれる「No.160(マリー・アントワネット)」。注文者のマリー・アントワネットも、当初製作を手掛けていたアブラアン・ルイ・ブレゲも既に亡くなっていました。この話からも分かるように、【ブレゲ】が確固たる地位を築いているのは、貴族や王たちに愛されたのはもちろん、最高峰の技術力が詰まった時計の発明によります。

ちなみに、現在の腕時計に使われている約70%の機構はアブラアン・ルイ・ブレゲによる開発・改良だと言われています。例えば”トゥールビヨン“や”ミニッツリピーター“、”パーペチュアルカレンダー“など、現在の腕時計には欠かせない機構のほとんどを彼が手掛けているのです。その功績もあって、「時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチ」「時計の歴史を200年早めた」と称えられています。

【ブレゲ】の魅力

*出典元:https://www.webchronos.net/news/71555/

数多くの時計機構を発明してきた【ブレゲ】ですが、魅力はそれだけではありません。高い技術力に加え、現代のデザインをしっかりと融合している点も大きな魅力と言えます。

現在の【ブレゲ】の時計は、アブラアン・ルイ・ブレゲが築き上げた時計の歴史や伝統を踏まえ、一度分解し、再構築しています。彼の時計作りに対する哲学や考えを踏襲し、現代の時計に反映させているため、クラシカルなデザインながらもどこか新しさを感じさせる時計に仕上がっているのです。

【ブレゲ】が開発した機構

【ブレゲ】が開発・改良した数多くの時計機構の中でも、特に有名なのが下記の発明です。

トゥールビヨン

*出典元:https://www.webchronos.net/news/71555/

アブラアン・ルイ・ブレゲが生きていた時代の携帯時計と言えば、懐中時計でした。懐中時計はポケットに入れている時間が長く、ムーブメントが直立する状態になります。そのため、ゼンマイの動力が歯車を正確に伝わらず、時計の精度が落ちるといった問題がありました。この姿勢差による問題を解決するために発明したのがトゥールビヨンです。

トゥールビヨンとは、フランス語で「渦」を意味し、名前の通り渦のような回転運動を利用した機構となっています。時計の精度を司るゼンマイやアンクル、ガンギ車、テンプといった脱進機全体をひとつに収め、一定周期で回転させることで姿勢差を均一化してしまう構造です。

1801年に特許を取得して以来、200年以上が経ちますが、未だに時計の技術・機構の最高峰と言われています。現在ではトゥールビヨンを作ることが、一流腕時計ブランドとしての高い技術力・開発力の証明であると考えられているほどです。

ペルペチュエル

*出典元:https://museum.seiko.co.jp/knowledge/inventors_03/

現在で言うところの自動巻き機構にあたるのがペルペチュエル。現在では当たり前のように使用されていますが、信頼性と実用性に足る自動巻き機構を発明したのは、何を隠そうアブラアン・ルイ・ブレゲです。

それまであった自動巻き機構にプラチナ製の分胴をつけることで、巻き上げ効率を向上させることに成功しました。これによって「ペルペチュエル(永久)」に動き続ける時計として、その評価が貴族たちへと一気に広まります。いわば【ブレゲ】の評価を押し上げた機構であるとも言えます。

ミニッツリピーター

*出典元:https://www.webchronos.net/mechanism/22267/

時計に組み込まれたハンマーが鐘を叩くことで、時刻を音で知らせる複雑機構のミニッツリピーター。リピーターウォッチが製造された1680年代は、置き時計内部の鐘や懐中時計の裏蓋をハンマーで叩く仕組みとなっていました。

アブラアン・ルイ・ブレゲはここから更に改良を重ね、ムーブメントを取り巻くように配置した板バネを叩く「ゴング式」と呼ばれる機構を発明しました。これによって、繊細な音色と小型化に成功し、今日(こんにち)の精緻なミニッツリピーターが完成したのです。

パーペチュアルカレンダー

*出典元:https://forbesjapan.com/articles/detail/30939

通常のカレンダー機構では、月ごとに日にちを調整する必要があります。(※例:4月は30日まで。時計は31日まで表示されるため、5月になった時点でカレンダーを進める必要がある。)パーペチュアルカレンダーは、日付調整を自動で行うだけでなく、閏年の229日も自動調整してくれるのです。

今でこそコンピューターを用いて簡単に計算できますが、この機構が開発された1795年当時は、機械だけで実現するのは至難の技でした。200年以上も前に、、、この技術力がいかに革新的であったのか、お判りいただけるかと思います。

デザイン

*出典元:https://www.renzu.jp/blog/reading/2546/

アブラアン・ルイ・ブレゲが発明したのは、時計の機構だけではありません。時計の外装やデザインにおいても、数多くの発明を行ってきました。

代表的なものとして、ブレゲ針やブレゲ数字、ギョーシェ彫、コインエッジなど、これらの装飾はブランドを象徴するデザインであることはもちろん、他ブランドでも採用されています。

中でもギョーシェ彫は、見た目の美しさに加えて光が反射して文字盤が見えづらいという問題をもクリアし、多くの時計メーカーで採用されています。現在では機械で加工するブランドもありますが、【ブレゲ】は一貫して職人による手彫りにこだわっています。

【ブレゲ】の人気モデル

ここからは【ブレゲ】の人気モデルをご紹介いたします。

『トラディション』

*出典元:https://www.breguet.com/jp

スースクリプションで販売していた懐中時計からインスピレーションを受けて作られた『トラディション』。(※スースクリプションとは、時計を販売する際、手付金を先にもらい、それを元に材料を購入し、制作を行う注文販売のこと。)

こちらは、当時の懐中時計のムーブメントのように中央に香箱を置き、二番車とテンプを左右対象に配置するという構造を忠実に再現しているのが特徴です。時刻を表示する文字盤を小型化してオフセンターに配置し、表からも機構を鑑賞できる作りにもなっております。他にも”可変慣性テンプ”や”パラシュート機構”など、アブラアン・ルイ・ブレゲの発明した機構をふんだんに搭載した【ブレゲ】の歴史と伝統が詰まったモデルと言えます。

『クラシック』

*出典元:https://www.breguet.com/jp

シンプルな外観に、【ブレゲ】の伝統的な要素を盛り込んでいる『クラシック』。

ブレゲ針やブレゲ数字、ギョーシェ文字盤、コインエッジなど【ブレゲ】ならではの意匠が盛り込まれ、熱心なファンや玄人の方から特に人気を集めています。シンプルなデザインながらも、多彩なバリエーションが展開されており、『シリシオン』や『オーラムンディ』『クロノメトリー7727』など、多種多様な派生モデルも存在します。「シンプルなドレスウォッチがほしい」という方におすすめですね。

『マリーン』

*出典元:https://www.breguet.com/jp

1990年代にブランドのスポーツラインとして登場した『マリーン』。

1815年、ルイ18世からフランス海軍のマリンクロノメーターの製作を任命され、それを機に作られたモデルです。第2世代にあたる『マリーンⅡ』が人気を博したことで、【ブレゲ】の中でも1,2位を争う人気を誇ります。高い防水性を持ったスポーツウォッチながらも、ドレスライクで上品な雰囲気を醸し出しているのが魅力ですね。

『タイプXX・XXⅠ・XXⅡ 』

*出典元:https://www.breguet.com/jp

1950年代にフランス海軍航空部隊向けに製作されたモデルがルーツとなっているパイロットウォッチ『タイプXXXXⅠ・XXⅡ』。

大きく分けて『アエロナバル』、『トランスアトランティック』、『アジェンダ』が存在します。『アエロナバル』はクロノグラフを、『トランスアトランティック』はデイト表記を、そして『アジェンダ』は、アラーム機能付きのモデルを指します。2004年にはサイズを42mmに拡大し、デイ/ナイト表示を備えた『タイプXXⅠ』。2010年にはサイズを44mm、毎時72000振動/時という超ハイビートムーブメントを採用した『タイプXXⅡ』へと進化を遂げ、パイロットウォッチらしいタフな見た目と、コインエッジやネジ式ラグなど【ブレゲ】らしい意匠のバランスを、見事に保っているのが魅力です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

時計機構の約70%を発明・改良したとされる天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲが創業した高級腕時計ブランド【ブレゲ】。「革新的な発明」と「洗練された美しさ」によって、多くの貴族や王たちから愛され、今日においても多くの腕時計ファンを魅了し続けています。

そんな時計の歴史や伝統を感じさせてくれる【ブレゲ】の腕時計を、皆様も一度手にしてみてはいかがでしょうか。

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