映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第99弾の今回は、「サイモン・ペッグの腕時計」をお送りします。

*出典元:https://www.denofgeek.com/

1990年代のロンドン。スタンダップコメディアンとしてキャリアをスタートさせたサイモン・ペッグ(写真右)は、後に盟友となるエドガー・ライト監督のゾンビコメディ『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)で大ブレイク。共演した親友のニック・フロスト(写真左)と共に世界的な人気俳優の仲間入りを果たします。

殺人鬼やゾンビ、宇宙人などとの戦いに巻き込まれるボンクラなニートやオタクを演じさせたらピカイチの存在感を見せていたサイモン・ペッグ。まさかそれが『ミッション・インポッシブル』シリーズでトム・クルーズの向こうを張るほどのスター俳優になるとは、想像もできませんでした。

今回はそんな「ボンクラの星」、サイモン・ペッグが劇中で着用した腕時計に注目して参ります。

セレブ・ウォーズ 〜ニューヨークの恋に勝つルール〜

HOW TO LOSE FRIENDS & ALIENATE PEOPLE(2008)

*出典元:https://m.imdb.com/

華やかなハリウッドセレブに憧れるイギリス人のシドニー(サイモン・ペッグ)は、ゴシップ誌のライターとなり、セレブへの毒舌を記事にする日々を送っていた。やがて彼は、ニューヨークの大手出版社からヘッドハンティングの誘いを受け、上品なセレブ誌のライターに転身。憧れのセレブたちとお近づきになれるとワクワクしていたものの、業界にいるのは、セレブやスターに媚びへつらうゴマすり人間ばかり。自分らしい記事を書きたいシドニーはトラブル続きでクビになりかけるが、同僚のアリソン(キルスティン・ダンスト)に助けられる。

そんなある日、セレブ誌の編集長が退陣。棚ボタで編集長の座が舞い込んできたシドニーはコダワリを捨てて大成功。誰もが認める有名誌の名物編集長へと昇りつめる。セレブへの道を歩み始めた彼は、マンションやブランド腕時計など、欲しいものを全て手に入れ、やがて売れっ子女優ソフィー(ミーガン・フォックス)ともいい関係になっていくのだが、、、

*出典元:https://m.imdb.com/

ファッション誌『GQ』 『Vogue』などを発行するコンデナスト社の記者、トビー・ヤングの実体験小説に基づくラブコメディ『セレブ・ウォーズ 〜ニューヨークの恋に勝つルール〜』(2008)。初めはニューヨークのセレブ業界を引っ掻き回しながら、やがて業界に染まっていくイギリス人ライター、シドニーを演じるサイモン・ペッグが身に着けているのは、オメガ スピードマスター プロフェッショナル(Ref.3570.50)

劇中、名物編集長となった彼の元に多くの「付け届け」が贈られてくるシーンがあり、その中のひとつがこの腕時計。もともと着けていた安物の腕時計を投げ捨て、この腕時計に付け替えるシドニー。ライターとしての「実」を捨て、編集長としての「利」を取ることを選択した彼の心境を表しているかのようなワンシーンです。

ミッション:インポッシブル ゴーストプロトコル

MISSION: IMPOSSIBLE – GHOST PROTOCOL(2011)

*出典元:https://mynerdypony.wordpress.com/

「コバルト」と呼ばれるテロリストに、ロシアの核ミサイル発射コードが盗まれるという事件が発生。真相を探るべくクレムリンに侵入したIMFのスパイ、イーサン・ハント(トム・クルーズ)だが、同じタイミングで爆破事件が起き、彼はテロ容疑者とみなされてしまう。テロ組織の疑いを避けるため、IMFはイーサンを「存在しない者」とみなし、その行動に関知も関与もしないという指令「ゴースト・プロトコル」を発令する。

IMFの後ろ盾を失ったイーサンは、女スパイのジェーン(ポーラ・パットン)、ハッキングを得意とするベンジー(サイモン・ペッグ)、データ分析官のブラント(ジェレミー・レナー)という、たった4人だけのチームで核戦争を阻止するため、「コバルト」の行方を追う。

*出典元:https://productplacementblog.com/

トム・クルーズ演じる凄腕スパイ、イーサン・ハントの活躍を描く人気シリーズ『ミッション:インポッシブル』シリーズ。その3作目M:i:III』(2006)にチョイ役として初登場し、4作目の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)で準主役級へと昇格した人気キャラ、ベンジー・ダンを演じるサイモン・ペッグ。

ハッキングなどを得意とする理系キャラだけに、愛用する腕時計もステータスや資産価値よりも「正確さ」「丈夫さ」「多機能」を優先しているのでしょう。着用しているのは、カシオ G-SHOCK(Ref.GX-56-1B)。「あらゆる(X=extra)方角からの衝撃(Gravity)に耐えぬくこと」を目指した「GX Series」の一本です。

G-SHOCKの公式サイトで調べたところ、このモデルの発売は2010年7月。これを2011年の映画で着けているということは、彼は「G-SHOCKの最新モデル」を選んで着けているということになりますね。新し物好きなのか、それとも最新スペックへのコダワリか。ベンジーの意外な一面が垣間見えます。

ミッション:インポッシブル ローグネイション

MISSION: IMPOSSIBLE – ROGUE NATION(2015)

*出典元:https://www.albawaba.com/

常識外れで無鉄砲すぎるIMFの存在を危険視したCIA長官のハンリー(アレック・ボールドウィン)は、IMFを解体してCIAに取り込むことを画策。計画通りIMFは無力化されるが、それと同時に謎のスパイ組織「シンジケート」が台頭してくる。ハンリーはイーサン・ハント(トム・クルーズ)が「シンジケート」の正体と睨み、彼を国際手配するが、イーサンも身を隠しながら独自に「シンジケート」を調査。その正体は、死亡したとされる世界各国の元エリートスパイで結成された多国籍組織「ローグ・ネイション」であることを突き止める。

テロや暗殺を次々と引き起こし、世界を混乱の渦に巻き込む「ローグ・ネイション」のスパイたち。イーサンは、望まぬながらCIA職員となったベンジー(サイモン・ペッグ)と密かに協力し、「ローグ・ネイション」との対決に臨むのだった。

*出典元:https://www.okings.xyz/

前作に引き続き、サイモン・ペッグ演じるベンジー・ダンが、一層マシマシの活躍を見せるシリーズ第5作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)。本作で彼が着けている腕時計は、前作のG-SHOCKから、ティソ タッチファンクション(Ref.T091.420.46.051.00)へと進化を遂げています。タッチセンサーを備えたサファイアクリスタル風防から、パーペチュアルカレンダーやアラームはもちろん、高度計やコンパス、天気予報などを呼び出して表示できるスマートウォッチ的な多機能腕時計。

画像の通りアップでスクリーンに登場するシーンもあり、ベンジー本人だけでなく、腕時計の活躍シーンも増えているのが時計ファンとしては嬉しいポイントです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

エドガー・ライト監督(写真右)の『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)、『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』(2007)、『ワールズエンド 酔っぱらいが世界を救う!』(2013)という、いわゆる「スリー・フレーバー・コルネット三部作」で無職のボンクラや爪弾き者の警官を演じていた頃、10年後にサイモン・ペッグがここまでのスター俳優になることを誰が想像していたでしょうか(失礼)。

*出典元:https://www.latimes.com/

しかしこれほどのスター俳優になっても、サイモン・ペッグは、いまだにちょっと頼りなかったり、空気が読めなかったり、おっちょこちょいだったりする「オタク感」「ボンクラ感」のある、コミカルな役を演じ続けてくれているのがファンとしては嬉しいところ。

劇中で着けている腕時計も、スピードマスターやG-SHOCKなど、子供っぽさが抜けきらないオタクやSFマニアが好きそうなモデルばかりなのは、キャラのブレない「ボンクラな芯」が一本、しっかりと通っているように思えます。

サイモン・ペッグが今後もこのまま「ボンクラナイスミドル」「ボンクラおじいちゃん」として魅力的な演技を見せてくれることを期待しつつ、また、どんなオタク好きする腕時計を着けてくれるのかを楽しみにしつつ、ファンとしてその活躍を追いかけていきたいと思います。

ではまた!

Actor's watch