映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第55弾の今回は「エイドリアン・ブロディの腕時計」をお送りします。

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先日劇場で観た『フレンチ・ディスパッチ』があまりに素晴らしかったので、前回のオーウェン・ウィルソンに続いてウェス・アンダーソン監督作から常連俳優の登場です。

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『戦場のピアニスト』(2002)で史上最年少となる29歳でのアカデミー主演男優賞に輝いたエイドリアン・ブロディは、その後もヒューマンドラマからSFアクションまで、幅広いジャンルで活躍。また2007年の『ダージリン急行』を皮切りに、ウェス・アンダーソン監督作に続けて登場し、劇中では父親の遺産を独り占めしようとする富豪の次男坊や、野心家の美術商など、キザったらしく金に汚ないペテン師風のキャラを嬉々として演じ続けております。

そんなエイドリアン・ブロディの腕元に、早速迫って参りましょう。

戦場のピアニスト

The Pianist(2002)

第二次世界大戦の勃発により、ナチスドイツに占領されたポーランドのワルシャワ。ユダヤ人ゲットーに押し込められたユダヤ系ポーランド人のピアニスト、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は脱走を果たすが、破壊し尽くされたワルシャワの街で孤立無援となる。やがて一軒の廃墟に身をひそめた彼は、そこに残されたピアノを弾くドイツ人将校と出会う、、、

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戦争に翻弄されたポーランド人ピアニストの過酷な人生を描いたこのヒューマンドラマで、エイドリアン・ブロディは、主人公となる実在のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン役を演じています。

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この映画でエイドリアン・ブロディが身に着けているのは、ジャガールクルト レベルソ。彼がこの腕時計を売って生活の足しにしようとするなど、劇中の多くのシーンに登場します。レベルソは1931年から作られている腕時計ですので、1939年のポーランド侵攻を舞台とした映画には時代も合っていますが、実際のシュピルマン本人が愛用していたのは、IWCの腕時計だったといわれています。

ブラザーズ・ブルーム

The Brothers Bloom(2008)

幼くして両親と別れ、子供の頃から人を騙して金を稼ぐようになった兄弟詐欺師。筋書を考える兄のスティーブン(マーク・ラファロ)と、筋書通りの人物を演じる弟のブルーム(エイドリアン・ブロディ)という「名コンビ」で詐欺を続ける兄弟だが、30代半ばとなったブルームは、嘘をつき続ける生活に嫌気が差し、詐欺師稼業から足を洗う決意をする。そんな弟に兄が持ち掛けた最後の仕事は、大富豪の未亡人から遺産を騙し盗ることだった、、、

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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)のライアン・ジョンソン監督が贈る、二転三転する騙し合いが楽しめる、いわゆる「コンゲーム」映画。詐欺師を辞めたい悩める弟、ブルーム役をエイドリアン・ブロディが演じています。

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この映画で彼が身に着けているのは、タグホイヤー カレラ クロノグラフ(Ref.CV2110)。エイドリアン・ブロディのスレンダーな体形によく似合った39mmの小ぶりなクロノグラフは、シルバー文字盤に水色のミニッツマーカーという知性的な雰囲気も相まって「端正で真面目な詐欺師」というキャラクターを強く印象付けています。

プレデターズ

Predators(2010)

謎の閃光に包まれ、気が付いたときには見知らぬジャングルにパラシュートで降り立っていた傭兵のロイス(エイドリアン・ブロディ)。上空を見ると、他にもパラシュートで降りてくる者たちの姿が。謎のジャングルに強制的に集められた彼らは、傭兵、スナイパー、麻薬組織の殺し屋、日本のヤクザ、殺人鬼といった「殺しのスペシャリスト」たち。太陽が全く動かないことから地球外の惑星へと連れて来られたことに気づいた彼らは、正体不明の「プレデター(捕食者)」の襲撃を受け、自分たちが「狩り」の標的になったことを知る。

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宇宙を渡り歩き、戦闘力の高い種族を狩ることを文化とする異星人「プレデター」と人類の戦いを描いた人気のSFシリーズ20年ぶりの新作は、『プレデター』(1987)、『プレデター2』(1990)に続く第3作目。プレデターと激闘を繰り広げる人類チームのリーダー役を、エイドリアン・ブロディが務めています。

*出典元:https://www.metacritic.com/

この映画で彼の腕元を飾るのは、ハミルトン カーキ ビロウ ゼロ(Ref.H78686333)クリストファー・ノーラン監督の時間SFアクション『テネット』(2020)や、火星に取り残された宇宙飛行士のサバイバルを描く『オデッセイ』(2015)にも登場した、近年、SF映画での着用がやたらと目に留まる腕時計です。本作においても46mmの大ぶりなケースに、リベットやボルトの意匠が組み込まれたこの腕時計のデザインは、非常にマッシブかつプロフェッショナルな印象を感じさせ、ロイスの「強靭な傭兵」としてのキャラクターに大きな説得力を与えています。

※オフショット

エイドリアン・ブロディは腕時計好きな俳優としても知られており、プライベートやオフショットでも、様々なブランドの腕時計を着用している姿が目撃されております。

2014年のカンヌ国際映画祭でのフォトセッションでは、アンバサダーを務めるブルガリ オクト ソロテンポ(Ref.BGOP41BGLD)を着用。エレガントながら存在感のあるピンクゴールドのオクタゴンケースと、引き締まった黒文字盤がディナージャケット姿に華を添えています。

*出典元:https://www.hautetime.com/

2021年のカンヌ映画祭のパーティーでは、世界限定わずか25本のショパール L.U.C ルナ ワン(Ref.161927-5002)を着用。こちらはカジュアルな着こなしに遊び心ある腕時計とサングラスを合わせ、ラグジュアリーながら抜け感のある、余裕ある大人のスタイル。

*出典元:https://infoportal-gloucester.net/

ほかにも、パネライジェイコブといった腕時計を着けている姿がパパラッチされているようですが、ロレックスパテックフィリップなど、所謂”王道”を着けている姿は確認できませんでした。エイドリアン・ブロディの腕時計趣味は「個性重視派」なのかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ウェス・アンダーソン監督作ではいつも、端正な顔立ちを逆手にとって「テンション高めのキザやペテン師」を演じているエイドリアン・ブロディですが、こうやって並べてみると、そこに留まらない、実に幅広い役柄を演じていることがわかります。アカデミー賞主演男優賞を取った俳優が『プレデターズ』のようなモンスターアクション映画に主演することなど、ほとんど聞いたことがありません。

*出典元:https://cutewallpaper.org/

王道ではない個性的な腕時計を愛する俳優だからこそ、演技プランや作品選びも常識に囚われることが無いのか、はたまたその逆なのかは判りませんが、これからもエイドリアン・ブロディが、個性的な作品で、個性的な演技と、個性的な腕時計の着けこなしを見せてくれることは間違いないことでしょう。それを楽しみに今後も彼を追っていきたいと思います。

ではまた!

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