映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第38弾の今回はライアン・レイノルズの腕時計をお送りします。

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「俺ちゃん」こと、死にたくても死ねない破天荒な不死身のスーパーヒーロー「デッドプール」を演じ、日本を含め全世界で大人気のライアン・レイノルズ。このデッドプールをはじめとして、なぜか「死にそうで死なない」「死んだと思ったら生きている」といったキャラクターを演じることが多い「不死身の俳優」、ライアン・レイノルズの腕元に今回は注目してみたいと思います。

セルフレス/覚醒した記憶

SELF/LESS(2015)

年老いて余命半年の癌宣告を受けた億万長者の前に、クローン技術で作った若い肉体に、現在の記憶や精神を転送する技術を発明した科学者が現れる。大金と引き換えに若い肉体を得た億万長者だが、この肉体が本当にクローンなのか、疑問に思い始める…。

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本作は『ザ・セル』(2000)、『落下の王国』(2006)など、人間の精神世界に侵入していくような映画を得意とするターセム・シン監督が描くSFスリラー。死の直前で若い肉体を得て生き長らえたものの、肉体に残っていた誰かの記憶に意識を乗っ取られていく億万長者、ダミアンをライアン・レイノルズが演じています。

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この映画でライアン・レイノルズが着けているのは、パネライ ルミノール マリーナ 1950 3デイズ(Ref.PAM00351)。チタンケースに焼けたようなブラウンのサンドイッチ文字盤の組み合わせが個性的な一本です。劇中、薬を飲む時間を知らせるために、この腕時計が「ピピッ」とアラームを鳴らすシーンがあるのですが、もちろん実物にはそんな機能はありません。秘密兵器を搭載したジェームズ・ボンドの腕時計くらい非現実的なら気になりませんが、なまじ現実的な機能だけに、、、いつかパネライがこういった機能を持ったモデルを作ってほしいものですね(笑)

フリー・ガイ

FREE GUY(2021)

強盗、銃撃、破壊活動、どんな悪事も働き放題の無法地帯「フリー・シティ」。この街で銀行の窓口係を務める真面目な男”ガイ”が、銀行強盗から奪ったサングラスをかけると、街中にある「アイテム」「パラメーター(数値)」が目に飛び込んできます。実は、この街はゲーム内の世界であり、銀行員のガイは、毎日同じ行動を繰り返すだけのモブキャラ(街の住人A)だったのです。

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舞台は人気ゲーム『グランド・セフト・オート(GTA)』のようなオープンワールド。そこで、毎日ただただ同じ行動を繰り返すだけの「住人A」キャラが自我に目覚め、「主人公」になることを求めてゲーム内で戦いを繰り広げるSFアクションコメディ『フリー・ガイ』。ライアン・レイノルズはヒーローを目指すモブキャラ「ブルー・シャツ・ガイ」を演じています。

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この映画でライアン・レイノルズが着けている時計は、カシオ F-91W。量販店で2000円以下で購入できる、俗に「チープカシオ」「チプカシ」などの愛称で親しまれているデジタルウォッチです。おそらくは使い回しのデータで作られているであろうゲーム内のモブキャラに、大量生産ウォッチの代表格であるチプカシは、これ以上ない、納得の組み合わせと言えるでしょう。

6アンダーグラウンド

6UNDERGROUND(2019)

ネオジム磁石の生産で財をなした億万長者「ワン」が、政府が手を出せない犯罪者やテロリストを倒すため、スナイパーやドライバーなど5人のスペシャリストを雇って「6人の自警団」部隊を結成。6人は中央アジアの独裁国家トゥルギスタンの大統領に戦いを挑む。

『6アンダーグラウンド』は、『アルマゲドン』(1998)、『トランスフォーマー』(2007)などの作品で知られるハリウッドの爆発王、マイケル・ベイ監督のNetflixオリジナル作品。非合法な自警団部隊の結成のため、自らの死を偽装して存在を消した億万長者「ワン」をライアン・レイノルズが演じています。

*出典元:https://www.prestigetime.com/

*出典元:https://www.prestigetime.com/

この映画で、億万長者であり部隊のリーダーでもある「ワン」が身に着けている時計は、ショパール LUCX PS 1860 オフィサーと、同じくショパール ミッレミリア GTS パワーコントロール。ドレスウォッチを身に着ける億万長者「ワン」と、堅牢なミッションウォッチを身に着ける部隊のリーダー「ワン」。同じブランドの2本の時計で、それぞれの立場を際立たせる演出が見事にハマっています。

まとめ

老いた大富豪が、死の直前に若い肉体を得て生き延びる『セルフレス/覚醒した記憶』
自我や意思を持たないモブキャラが、生きる意味に目覚める『フリーガイ』
自らの死を偽装し、法的に死んだまま正義の戦いを続ける『6アンダーグラウンド』
たとえ死んでも、何度でも生き返るスーパーヒーロー『デッドプール』

*出典元:https://br.atsit.in/

ライアン・レイノルズが演じる映画の登場人物たちは、いちど死にかけたり存在意義を失ったところから、再び「自分」を取り戻すキャラクターとして描かれることが少なくありません。

これは、DCコミック原作のスーパーヒーロー映画、『グリーンランタン』(2011)で主役に抜擢されながら、映画の大コケで一時は俳優としてのキャリアも終わったと言われていたライアン・レイノルズが、自ら製作した『デッドプール』を大ヒットさせ、再びメインストリームに舞い戻ってきた姿ともダブって見えます(ライアン・レイノルズは、いまだにこの話を自虐ネタにしています)。

*出典元:https://www.gmanetwork.com/

同じように機械式腕時計も、1970年代のクォーツショック、2008年のリーマンショック、2010年のスマートウォッチ台頭などにより「オワコンになる」と常に言われ続けてきたアイテム。ところが機械式時計は、オワコンになるどころか、近年ますます人気や価値が上昇しており、一向に下がる気配を見せません。

いずれも最悪な危機を乗り越えて息を吹き返したライアン・レイノルズと機械式時計。「最悪の危機」でも死なずに済んだのは、それだけ「真の実力」「真の価値」が備わっているということにほかなりません。

どちらも人気や需要が大きく落ちる心配の少ない、安心して「推せる」俳優&アイテム。今からでもBETしておく価値は大いにあると思いますよ!

ではまた!

Actor's watch