映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第35弾の今回は「タロン・エガートンの腕時計」をお送りします。

*出典元:https://www.richmondandtwickenhamtimes.co.uk/

「タロン・エガートン」と名前だけ聞くと「誰?」とお思いになるかもしれませんが、映画『キングスマン』シリーズの主人公と聞けばピンとくる方も多いのではないでしょうか?日本での知名度はまだそれほど高くはありませんが、今後の活躍が期待される俳優の一人として、「Actor’s Watch」で取り上げてみたいと思います!

キングスマン

Kingsman(2014)

ロンドン中心部サヴィル・ロウの老舗「キングスマン」は、表向きはスーツの仕立てが評判の高級テーラーだが、その実態はどこの国にも属さず、日々、悪と戦い続ける絶対中立の国際諜報組織「キングスマン」の拠点。世界の脅威と戦う正義のエージェントの活躍を描く本作で、タロン・エガートンは亡き父の跡を継いで「キングスマン」の候補生となる不良青年、主人公のエグジー役を演じています。

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この作品でタロン・エガートンが着けているのは2002年創業の新興ブランド、ブレモンのクロノグラフ。パイロットを父にもつ兄弟が、本格的な「メイド・イン・イングランド」の機械式時計の製造を目標に設立した、パイロット&ミリタリーウォッチの新鋭メーカーです。

*出典元:https://professionalwatches.com/

「キングスマン」のエージェントたちは皆、仕立ての良いダブルのスーツにオックスフォードの革靴という絵に描いたような英国紳士のいで立ち。クロノグラフのパイロットウォッチは少々トゥーマッチに見えなくもありませんが、派手なアクションが売りの本作において、三針のドレスウォッチは華奢すぎて説得力がありません。それよりも高機能なミッションウォッチに高級感のある革ベルトを合わせることで「最強の英国紳士」というキャラクターが際立っているように思えます。

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なお、劇中にはブレモンの創業者、ニック・イングリッシュもカメオ出演しておりますのでお見逃しなく。

キングスマン: ゴールデン・サークル

Kingsman: The Golden Circle(2017)

ドラッグを使って世界征服を企む世界最大の麻薬組織「ゴールデンサークル」と、秘密のスパイ組織「キングスマン」の戦いを描くシリーズ第二弾『キングスマン:ゴールデン・サークル』。正式に「キングスマン」の一員となったエグジーを演じるタロン・エガートン。一作目ではまだまだジャージの方が似合っていたエグジーですが、本作ではすっかりスーツやタキシードにも慣れ、仕草や雰囲気は、これぞまさに「英国紳士」の佇まい。劇中のセリフ通り「マナーが人を作る」を体現しております。

*出典元:https://www.indiewire.com/

一作目ではブレモンの機械式パイロットウォッチを身に着けていたキングスマンのエージェントたちですが、本作では、ガラリと変わってタグホイヤーのスマートウォッチ コネクテッド モジュラー45 キングスマン スペシャルエディションを着用しています。これはピンクゴールドのラグに黒のベゼルを配した高級感ある仕上げの特注品。本作ではこの時計がハッキングツールやレーダーなど、スパイ映画らしい「秘密兵器」として大活躍を見せることになります。

*出典元:https://revolutionwatch.com/

サイズはやや大きめで袖口への収まりは悪いものの、タグホイヤーらしからぬ(?)シンプルでゴテゴテしていない外見のおかげで、スッキリとした見た目になっているように思えます。ピンチの際は瞬時に操作しなければならない秘密兵器だけに、袖口に収めて操作に手間取るよりも、こちらの方がスパイ的には正解なのかもしれません。

ロケットマン

Rocketman(2019)

イギリスが誇るシンガーソングライター、エルトン・ジョンのジェットコースターのような波乱の半生を描くミュージカル伝記映画『ロケットマン』。タロン・エガートンは主役のエルトン・ジョン役を、「口パク」無しで演じきっています。

*出典元:https://www.thelocalanswer.co.uk/

実はエガートンは演劇学校時代に歌唱コンクールで優勝するほどの歌唱力の持ち主。歌手を目指す動物たちの奮闘を描いた大ヒットCGアニメ『SING/シング』(2016)でも、父親と反目して歌手を夢見るゴリラ、ジョニーを演じるなどミュージカルはお手の物。本作でプロデューサーをつとめるエルトン・ジョン本人からお墨付きを受けた歌唱力で、『ユア・ソング』『ロケットマン』など数々の名曲を披露しています。

そんなエガートンが着用しているのはきらびやかなダイヤモンドウォッチ、ショパール インペリアーレ。エルトン・ジョンの派手なステージ衣装にも負けないインパクトを残しています。

*出典元:https://www.chopard.com/

ショパールの社長兼クリエイティブディレクターであるキャロライン・シューフェレエルトン・ジョンは、チャリティーイベントなどを共催している旧知の間柄。彼女は「ショパールのジュエリーや時計が、タロン・エガートンをエルトン・ジョン卿に変身させることを嬉しく思う」とのコメントを残しています。変身させられるだけのインパクトを求めた結果がこの時計であったのでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
現時点においてタロン・エガートンが映画の中で身に着けているのは、スパイヒーローやエルトン・ジョンという、およそ一般人とはかけ離れた強烈なパーソナリティを演出するための、そのキャラクターに強く紐づけられた時計のように思えます。そのため「キングスマンの時計」「エルトン・ジョンの時計」という印象の方が強く、「タロン・エガートンの時計」というイメージは、まだまだ確立されていないと言っていいでしょう。

*出典元:https://www.latimes.com/

今後「どこにでもいそうな一般人」など、タロン・エガートン自身の魅力を存分に発揮するような人物を演じたとき、その腕に着けられている時計が「タロン・エガートンの時計」というイメージになっていくのではないでしょうか。

今はその作品の登場を楽しみに待ちたいと思います。
ではまた!

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