映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第26弾の今回は、ロレックス、オメガに次いで映画に登場することが多いブランド「パネライ」に注目していきます。

*出典元:https://timeandtidewatches.com/

パネライ愛好家のコミュニティ「paneristi.com」に由来する、パネライのファンや愛好家を意味する呼び名「パネリスティ」。ハリウッドにも「パネリスティ」と呼ぶに相応しい、パネライを愛するスター俳優が少なからずいるようで、多くの映画にパネライが登場しているのは、そのパネリスティ俳優たちのおかげと言っても過言ではありません。

それでは、そんな「スター俳優たちに愛されたパネライ」の数々を見て参りましょう。

デイライト

DAYLIGHT(1996)

1992年までは軍需品として一般販売が認められていなかったパネライの腕時計。1993年頃に一般販売を開始したものの、まだ知る人ぞ知るレアブランドだったパネライを一躍有名にしたのが、1996年公開のシルベスター・スタローン主演作『デイライト』でした。

*出典元:https://perezcope.com/erai/

スタローン演じる緊急医療士の筋肉隆々とした腕に、それに負けるとも劣らない「ゴツい」時計が着けられており、「あのバカでかい時計は何だ!?」と世界中で大きな話題になりました。その時計こそが、パネライ ルミノール(Ref.PAM5218-201/A)通称「プレヴァンドーム」。

*出典元:https://www.panerai.com/

この「プレヴァンドーム」は、スタローンがイタリアで見かけて一目惚れし、劇中用と関係者へのプレゼント用に複数発注したものと言われています。この映画によってパネライが時計愛好家に認知され、今日まで続く人気を獲得するきっかけとなったことは間違いないでしょう。

また、パネライの「スライテック」「デイライト」と名付けられたモデルは、それぞれスタローンの愛称である「スライ」と、映画のタイトル『デイライト』から名付けられたもの。スタローンとパネライの相思相愛の関係性がよくわかりますね。

イレイザー

ERASER(1996)

ハリウッドを代表するもう一人の筋肉系アクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガーも、1996年公開の『イレイザー』で、パネライ ルミノール マリーナ(Ref.PAM5218/203A)を着用しています。こちらはPVD加工されたプレヴァンドーム。

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重大事件の証人を守る連邦保安官をシュワルツェネッガーが演じた本作では、オープニングでこの時計がアップになり、その存在感を十分に示しています。また、このシーンは映画史上初の「パネライの時計のアップシーン」とも言われています。

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ハリウッドを代表する二人のアクションスターが、同じ年に別々の映画でパネライの時計を初めて着用したという事実は、「映画とパネライ」の関係において、非常に運命的な偶然が重なった出来事と言えるのではないでしょうか。

デス・ウィッシュ

Death Wish(2018)

スタローン、シュワルツェネッガーときたら、次に紹介すべきは、やはりブルース・ウィリスしかいないでしょう。強盗に妻を殺され、娘を重体にされた外科医が拳銃を手に入れたことで処刑人と化す、2018年公開の『デス・ウィッシュ』。外科医を演じるブルース・ウィリスがパネライの愛用者として描かれています。

*出典元:https://www.digitalspy.com/

劇中で着用されているのは、パネライ ラジオミール1940(Ref.PAM00736)と思われる時計。スタローンやシュワルツェネッガーの「ガテン系」キャラクターとは異なり、外科医というホワイトカラーの役柄に合わせ、厚みを抑えたラジオミールが選択されています。

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劇中でもう一本、別のラジオミール(Ref.PAM00577と思われる)も登場するのですが、ストーリーに関わる登場の仕方をしていますので、詳細は映画を観てのお楽しみとさせていただきます。

ブリジット・ジョーンズの日記

Bridget Jones’s Diary(2001)

パネライというと、どうしても「筋肉隆々のアクションスターが着ける時計」と思われがちですが、そうとは限らないことを示したのが、2001年公開の『ブリジット・ジョーンズの日記』に出演したヒュー・グラント

*出典元:https://people.com/

主演のレニー・ゼルウィガーがアカデミー主演女優賞を獲得した本作は、恋愛下手な30代女性の本音を描いた恋愛コメディ映画。この作品では、ヒロインが恋心を抱く職場の上司を演じたヒュー・グラントの腕に、ブレスレット仕様のパネライ ルミノール マリーナが着けられています。いつもワイシャツの胸元を大きく開けたプレイボーイ上司というキャラクターに、外し気味にも見えるパネライが説得力を与えています。

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この映画を観ると、1996年公開の『デイライト』から5年が経ち、パネライが「ガテン系ミリタリーウォッチ」というマッシブなイメージから、「スーツやワイシャツ姿に遊び心を加味する、スポーティなドレスウォッチ」というイメージに変化してきたことがわかります。

なお、ヒュー・グラントは2002年公開の『トゥー・ウィークス・ノーティス』で演じた不動産会社CEO役でも、スーツの腕元にパネライをコーディネートしており、強い「パネライ愛」がうかがわれます。

*出典元:https://www.spotern.com/

ヒュー・グラントは、パネライの「ドレッシーに着けられるスポーツウォッチ」というイメージを作り出した、映画界の功労者と言えるかもしれません。

まとめ

1860年創業という歴史あるブランドながら、パネライが時計の一般販売を開始したのは1993年頃。映画界においては『ターミネーター2』(1991年)や『ジュラシックパーク』(1993年)など、実写では撮影不可能な、CGを用いたド派手なアクション映画が作られ始めた時期にあたります。

*出典元:http://www.themoviewaffler.com/

未だかつてなく堅牢に見え、質感も良く、見映えのする「歴史ある新興ブランド」パネライ。新時代の映画に出演したアクションスターや製作者たちの間で、激しいアクション演出に大きな説得力をもたらす小道具として選ばれたのは当然のように思えます。

このように、パネライのターニングポイントと、アクション映画のターニングポイントが、偶然にも同じタイミングで生じ、お互いの価値を高め合ったことは「歴史の妙」と言っていいのではないでしょうか。

*出典元:https://productplacementblog.com/

さて、パネライを愛用する俳優、パネライが登場する映画はまだまだ多いのですが、今回は文字数が足りなくなってしまいました!皆様お待ちかねであろう「運び屋」「元プロレスラー」については【後編】にてご紹介させていただきたいと思います。どうぞご期待ください。

ではまた!

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