幼少期から子役としてディズニー・チャンネルなどで活躍していたジャスティン・ティンバーレイク。14歳でポップグループ「イン・シンク」のリードシンガーに抜擢されると、6年の活動期間で8000万枚以上のレコードを売り上げ、世界的アイドルスターの仲間入りを果たします。
イン・シンクの活動休止後はソロ活動を開始。グラミー賞を10回、エミー賞を4回獲得するなど、トップシンガーとして活躍を続けながら、映画界にも進出。facebookの設立を描いた実録映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010)では主要キャストのひとり、facebookの初代CEOであるショーン・パーカー役を担当。その演技は絶賛され、以降、コンスタントに話題作への出演が続いています。
映画やテレビなどで活躍する俳優の腕時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第180弾の今回は、そんなジャスティン・ティンバーレイクが着用した腕時計をご紹介して参ります。
ウブロ
ビッグバン オールグリーン【Ref.301.GI.5290.RG】
世界最大のSNS「facebook」。その設立と創業者たちの確執を描いた、デヴィッド・フィンチャー監督の大ヒット映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010)、まずはそのベルリンプレミアでのヒトコマから。
劇中では、音楽ファイル共有サービス「Napster」の共同創業者で、「facebook」の初代CEOでもあった実在のIT起業家、ショーン・パーカーを演じたジャスティン・ティンバーレイク(写真左)。この時に着用していた腕時計は、ウブロ ビッグバン オールグリーン(Ref.301.GI.5290.RG)でした。オールグリーンとは言うものの、スモーキーで落ち着いたカラーリングの一本。この写真を見ても、全く浮いた雰囲気はなく、いかにも昨今のIT長者らしいカジュアルなスタイリングにフィットしています。
facebookが法人化した2004年頃、地味な老舗時計ブランドだったウブロは、時計業界の仕掛け人、ジャン・クロード・ビバーの手により、ゴールドとラバーを組み合わせた新世代のラグジュアリーウォッチブランドとして再興を果たし、パテックフィリップやロレックスでは飽き足らないクリエイターやアスリート、IT業界のニューリッチたちから絶大な支持を獲得します。
映画『ソーシャルネットワーク』と「ウブロ」の組み合わせには、そんなIT業界の歴史と高級腕時計業界の歴史が交差する瞬間が表現されているように思えてなりません。
ロレックス
デイデイトⅡ【Ref.218238】
ジャスティン・ティンバーレイクが、自身初となる全米シングルチャート初登場1位を獲得した2016年のヒット曲「Can't Stop the Feeling」。そのプロモーションビデオで彼が着用していたラグジュアリーな金無垢の腕時計は、ロレックス デイデイトⅡ(Ref.218238)と思われます。
この曲は、彼が声優として参加したミュージカルアニメ映画『トロールズ』(2016)の主題歌で、HIP HOPダンスのBGMとしても子供たちに人気のナンバー。そのPVでデイデイトを着用したのは、HIP HOP界の大スターであり、ラッパーの間に「ファッションとしてのロレックス」を広めたアーティスト、2パックへのリスペクトでしょう。
ブライトリング
クロノマット44【Ref.AB0110】
感情抜き、カラダだけの関係で満足していたカップルが、それぞれ別のパートナー候補と出会ったことで、お互いの気持ちに気づいていく...というロマンティックコメディ『ステイ・フレンズ』(2011)。主役の「女性との真剣なお付き合いに踏み込めない男」、ディランを演じたジャスティン・ティンバーレイクが劇中で着用していた腕時計は、ブライトリング クロノマット(Ref.AB0110)でした。
彼が演じるディランは、イケメンのアートディレクターという設定。相手にクリエイティビティを感じさせる自己演出の一環として、クリエイター職の方たちは、ロレックスやオメガなどの誰もが知る高級腕時計ではなく、ブライトリングなど、専門性や歴史性を感じさせる個性的なブランドを選ぶ事が少なくありません。この腕時計のチョイスは、まさにそのメソッドを映画の中で再現したものと言っていいでしょう。
オーデマピゲ
ロイヤルオーク オフショア【Ref. 26401RO.OO.A002CA.02.A】
2023年の6月にルーブル美術館で行われた、ルイ・ヴィトンの春夏メンズコレクション発表会。このイベントは、2021年に急逝したメンズ アーティスティック・ディレクター、ヴァージル・アブローへの敬意を表したものでもあり、生前に親交が深かった著名人やセレブらも来場してイベントに華を添えました。
その中のひとり、ジャスティン・ティンバーレイクは、女優で妻のジェシカ・ビールと共にイベントに参加。ヴァージル・アブローの服に身を包んだ彼が、この時のスタイリングにチョイスした腕時計は、オーデマピゲ ロイヤルオーク オフショア(Ref.26401RO.OO.A002CA.02.A)でした。
1993年に発表されたされた「ロイヤルオーク オフショア」は、当時22歳だったオーデマピゲの社内デザイナー、エマニュエル・ギュエが手掛けた腕時計。当時としては前例の無い「42mmの巨大なラグジュアリーウォッチ」は、業界内で大きな賛否を巻き起こし、高級腕時計の歴史を変える一本となりました。
ルイ・ヴィトン初の黒人クリエイティブディレクター、ヴァージル・アブローの遊び心溢れるファッションに、世界初の「オーバーサイズの高級腕時計」であるロイヤルオーク オフショアを合わせたスタイリングには、「世界を変える」というクリエイターのメッセージを読み取らずにはいられません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
深く考えず「今回はジャスティン・ティンバーレイクで行っちゃおっかな~」と軽い気持ちでリサーチを始めたのですが、調べるにつれ、彼のアーティスト&クリエイターとしての創造性と、高級腕時計の歴史が絶妙にシンクロする結果となり、読んでいる皆様より、むしろ書いているこっちが驚いております。
2024年3月には、6年ぶりとなる最新アルバム『Everything I Thought It Was』をリリースしたジャスティン・ティンバーレイク。現在は新曲を携えてのワールドツアー中。俳優業はしばらくお休みとなりそうですが、声優として参加した人形アニメ映画『Piece by Piece』が、2024年の10月に公開される予定です。
この作品は、ミュージシャンであり、ルイ・ヴィトンのクリエイティブディレクターでもあるファレル・ウィリアムズの半生を、レゴブロックの人形アニメで描いた伝記映画。ウィリアムズ本人はもちろん、ケンドリック・ラマー、ジェイ・Z、スヌープ・ドッグら、レジェンドラッパーたちがレゴの人形として登場。ジャスティン・ティンバーレイクも同じくレゴ姿で登場する意欲作となっています。
果たしてどんな作品に仕上がっているのか、乞うご期待と参りましょう。
ではまた!