*出典元:https://www.hellomagazine.com/

映画やテレビなどで活躍する俳優の腕時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第166弾の今回は、ニコラス・ケイジ愛用時計をご紹介して参ります。

アカデミー作品賞を受賞した『ゴッドファーザー』(1972)などで知られるフランシス・コッポラ監督を叔父に持ち、自らも『リービング・ラスベガス』(1995)の演技でアカデミー主演男優賞の栄冠に輝いたニコラス・ケイジ。名作ドラマからB級アクションまで、ジャンルの垣根なく多くの作品に彼が主演しているのは、フェラーリ車のコレクションやアメコミ古書収集など、高額な趣味に掛かる費用を稼ぐためとも言われております。

腕時計の収集もニコラス・ケイジの趣味のひとつ。今回の「Actor’s Watch」は、そんな彼の腕時計コレクションをご紹介して参ります。

ロレックス

デイトナ レパード【Ref.116598SACO

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まずはハリウッドスターご用達のロレックスから。彼が所有するモデルは、豹柄の文字盤とストラップ、そしてベゼルにセットされたイエローサファイアが個性的なロレックス デイトナ レパード(Ref.116598SACO)。クセ者俳優として知られるニコラス・ケイジだけあって、選ぶモデルも一筋縄ではいかないようです。

ニコラス・ケイジがデイトナ レパードを着用している姿を見ると、カンヌ映画祭の最高賞、パルム・ドールを受賞した彼の主演作『ワイルド・アット・ハート』(1990)を思い出す方も多いのではないでしょうか。

本作で彼が演じたのは、愛する女性の為ならどんな困難もトラブルも過剰な暴力と異常性で乗り越えていく主人公のセイラー。「自由」を象徴するパイソン革(蛇革)のジャケットを身にまとい、プレスリーの『ラブ・ミー・テンダー』を熱唱する名シーンが有名ですが、そこにこの腕時計が加わっていれば、ヴィジュアルの過剰さと異常性は更に増しただろうな、、、と思わずにはいられません。

ムーンフェイズ トリプルカレンダー【Ref.6062

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続いては、2002年から2004年まで彼の妻だったリサ・マリー・プレスリーとの2ショットで着用している、ロレックス トリプルカレンダー ムーンフェイズ(Ref.6062)。1950年から53年頃にかけて、およそ1000本弱のみの製造と推定されている、ヴィンテージロレックスきってのレアモデルです。

ケース素材はSS/YG/PGの三種類、文字盤やインデックスのデザインにも多彩なバリエーションがあるRef.6062。この写真でニコラス・ケイジが着用している個体は、18YKG(イエローゴールド)ケースに白文字盤の組み合わせであることは判るものの、インデックス等のデザインまでは判然としないのが悔しいところ。もし仮に、星形インデックスを備えた通称「ムーンスター」「ステリーネ」であるなら、レア度は格段にアップします。

パテックフィリップ

パーペチュアルカレンダー クロノスプリット【Ref.5004R-018】

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続いては、パテックフィリップ パーペチュアルカレンダー クロノスプリット(Ref.5004R-018)。永久カレンダー、スプリットセコンドクロノグラフ、ムーンフェイズを搭載したグランドコンプリケーションモデルです。

ハリウッドセレブが所有するパテックフィリップの腕時計と言えば、ノーチラスアクアノートが圧倒的に多い中、ニコラス・ケイジはシックな革ベルトのグランドコンプリケーションをチョイス。今回のリサーチでは、彼がラウンド(丸型)ケース以外の腕時計を着用している写真を発見することはできなかったので、もしかしたら、ラウンドケースではないノーチラスやアクアノートは、彼の好みではないのかもしれません。

ゼニス

エルプリメロ グランドクロノマスターXXT トゥールビヨン【Ref.18.1260.4005/01.C505】

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続いてはコチラ。2013年に行われた第63回ベルリン国際映画祭でニコラス・ケイジが着用していた腕時計は、ゼニス エルプリメロ グランドクロノマスターXXT トゥールビヨン(Ref.18.1260.4005/01.C505)。かつてロレックス デイトナにも搭載されていた、ゼニス製の自動巻クロノグラフムーブメント「エルプリメロ」を、大胆にもトゥールビヨン化した世界50本限定のレアピースです。

前述したロレックスの「Ref.6062」や、パテックフィリップの「Ref.5004」と同じ、非常に繊細な扱いが求められるこのようなコンプリケーションウォッチを、惜しげもなく普段使いしているというのがニコラス・ケイジの凄いところ。この辺りには「腕時計は使ってナンボ」という、実用主義的な彼の腕時計哲学が感じられます。

グランドセイコー

スプリングドライブ 20周年記念限定モデル【Ref.SBGC230】

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最後は2022年9月に行なわれたトロント映画祭プレミアでのヒトコマ。にこやかな笑顔を見せるニコラス・ケイジが着けているのは、グランドセイコー スプリングドライブ20周年記念モデル(Ref.SBGC230)と思われます。

ニコラス・ケイジが「架空の自分」を演じて話題となったアクションコメディ『マッシブ・タレント』(2022)。この映画のプレミアで彼が世界各国を回る中、彼がグランドセイコーを着ける姿が頻繁に目撃されるようになってきました。実は、ニコラス・ケイジの現在の奥さんは日本人で、2021年に彼女と結婚して以降、グランドセイコーを愛用するようになってきた彼。これはもしかしたら、妻に対する、腕時計を用いた「ラブ・ミー・テンダー」の表現なのかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

フェラーリの現行車種を全て購入」などの浪費癖が祟り、2010年頃には多額の税金を滞納して破産寸前だったとも言われているニコラス・ケイジ。その後、仕事を選ばず多くの映画に出演しまくったことで全ての借金を完済。日本人の妻を迎えた2021年以降は『PIG/ピッグ』(2021)、『マッシブ・タレント』(2023)といった良作への主演で俳優として再評価が高まった事は、ファンとして嬉しい限り。

*出典元:https://film.wp.pl/

ニコラス・ケイジが経済的にイケイケだったであろう2000年代には、高額ブランドのレア品やグランドコンプリケーションの愛用が多かったものの、借金完済後にはグランドセイコーへと、「実用性重視」の方向に腕時計の趣味が変わってきたようです。こうやって見ると、ニコラス・ケイジの腕時計遍歴には、彼の人生そのものが重なっているようにも思えます。

そんな彼の最新作は、『ミッドサマー』(2019)のアリ・アスター監督が製作を務める『ドリーム・シナリオ(原題)』(2023)。なぜか大勢の人の夢に登場し、有名人になってしまった大学教授を襲う悲劇を描いたコメディホラーだそうです。本作でゴールデングローブ賞の主演男優賞にもノミネートされたニコラス・ケイジ。日本人の妻のもと復活した彼の快進撃は、まだまだ続きそうです。

ではまた!

Actor's watch