映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第155弾の今回は、「パトリック・デンプシーの腕時計」をお送りします。
*出典元:https://www.aarp.org/
冴えない男子高校生が一ヶ月だけ学園のアイドルの彼氏になる『キャント・バイ・ミー・ラブ』(1987)や、禁酒法時代を舞台に、若きギャングたちの青春と抗争を描いた『モブスターズ/青春の群像』(1991)など、1980~90年頃のラブコメや青春映画に数多く出演し、アイドル的な人気を博したイケメン俳優、パトリック・デンプシー。
90年代末期には人気が低迷したものの、2000年代に入ると出演作にも恵まれ、甘いマスクのバイプレイヤーとして再ブレイクを果たした彼は、レーシングチームのオーナー兼ドライバーとしても知られており、ル・マン24時間レースで4位入賞を果たすなど、モータースポーツの世界でも活躍を見せています。
今回は、そんなパトリック・デンプシーが劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。
近距離恋愛
MADE OF HONOR(2008)
*出典元:https://www.recordonline.com/
プレイボーイの大学生、トム(パトリック・デンプシー)と、真面目な美術大生のハンナ(ミシェル・モナハン)。大学の仮装パーティーで最悪の出会いを果たした二人だったが、話をするうちにお互いを気に入り、隠し事なく何でも話せる親友になった。
あれから10年。ビジネスを成功させ、裕福になったトムは相変わらずのプレイボーイ。ハンナは美術館に勤務していた。そんなある日、美術館の展示品を集める為、スコットランドへの長旅をすることになったハンナ。親友と会えない日々に寂しさを感じたトムは、彼女が帰国したら告白しようと決意するが、ハンナは、スコットランドで知り合った男、コリン(ケヴィン・マクキッド)と婚約し、スコットランドに移住することをトムに伝えるのだった。
*出典元:https://www.usmagazine.com/
真面目な女性に恋したプレイボーイ実業家の奮闘を描くロマコメ映画『近距離恋愛』(2008)。本作で、女にだらしないエグゼクティブを演じるパトリック・デンプシーが着用している腕時計は、ジャンリシャール トゥールビヨン TV スクリーン(Ref.96016-53-10B-AA4D)と思われます。
スイス時計産業の父とも称される17世紀の時計師ジャン・リシャールの名を冠し、ジラールペルゴのディフュージョンブランドとして1994年に創業したジャンリシャール。スイス時計の中でもイタリアンな雰囲気を持つジャンリシャールの高価なトゥールビヨンモデルは、プレイボーイの富裕層という役柄には「いかにも」なチョイスと言えるでしょう。
グレイズ・アナトミー 恋の解剖学
GREY’S ANATOMY(2005-2023)
*出典元:https://www.insider.com/
シアトル・グレース病院にインターンとして初出勤したメレディス・グレイ(エレン・ポンピオ)と、同じくインターンとなった仲間たち。 昨日まで医学生だった彼らが、今日からは医師として人の命を預かる立場に立ち、実践訓練を強いられる日々が始まる。
そんな中メレディスは、新しく上司となる脳外科医のデレク・シェパード(パトリック・デンプシー)が、前夜にバーで出会い、一夜限りの関係で終わったハズの相手だと知って動揺する。デレクとの関係に悩みながらも、メレディスは研修医としてキャリアを重ねていく。
*出典元:https://www.indy100.com/
シアトルの大病院を舞台に、若き研修医たちが仕事と恋愛に悩みながらも成長していく姿を描き、15年以上もの長きに渡ってシリーズが継続している人気TVドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』(2005-2023)。研修医たちの上司となる優秀な脳外科医を演じ、2005年から2015年までレギュラーを務めたパトリック・デンプシーが本作で着用している腕時計は、ジラールペルゴ WW.TC フィナンシャル クロノグラフ(Ref.49805-11-255-11A)。
このモデルは「フィナンシャル」の名が示す通り、世界各国の金融市場の時刻を表示する、金融マンや投資家の為の腕時計。このような腕時計を着用しているということは、株式投資や資産運用などにも積極的な医者であることを表現しているのかもしれません。
ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期
BRIDGET JONES’S BABY(2016)
*出典元:https://www.cosmopolitan.com/
テレビ局のプロデューサーとして順調にキャリアを積んでいたブリジット・ジョーンズ(レニー・ゼルウィガー)。しかし、四十路を過ぎても彼女は未だ独身のまま。かつての恋人、ダニエルは飛行機事故で亡くなり、ダニエルの恋敵だったマーク(コリン・ファース)も別の女性と結婚してしまっていた。
ある日、ブリジットは野外ロックフェスでダンディな実業家のジャック(パトリック・デンプシー)と出会い、アルコールの勢いでベッドを共にすると、その一週間後には離婚調停中のマークと再会して意気投合。これまた関係を持ってしまう。そしてしばらく後、ブリジットは自分が妊娠したことに気づくが、、、
*出典元:https://www.indiewire.com/
どこにでもいそうな「普通」のアラサー女性の恋や悩みを描いて大ヒットを記録した『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)。その続々編となる『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』(2016)では、パトリック・デンプシーはアラフォーとなったブリジットと関係を持つ、ダンディな実業家のジャックを演じています。
本作で彼が着用しているのは、タグホイヤー モナコ クロノグラフ ACM ブラックスティール (Ref.CAW211M.FC6324)と思われる腕時計。ブラックのモナコといえばバンフォードとのコラボモデル(Ref.CAW2190.FC6437)が有名ですが、その発売年が2018年であるのに対し、本作の公開は2016年。また、写真ではケース左側にリューズが見当たらないので、キャリバー11を搭載したバンフォードではなく、2013年に発売された右リューズの「ACM(モナコ自動車クラブ)」モデルの可能性が高いと思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「仕事がデキるプレイボーイ」といった役柄が多いパトリック・デンプシーだけに、劇中で着用する腕時計は、エレガントながらスポーティーな男らしさも同時に感じさせるモデルが多いようです。
しかしスクリーンの外では、破産したタリーズコーヒーの47店舗を雇用を守るために920万ドルもの大金で買収したり、インタビューでは「金銭目当てで何かを追い求めると、必ず悲惨な目に遭うからね。出演料より、演じる事の満足度で出演作を選ぶことにしているよ」と答えるなど、「実直」「堅実」な人柄を物語るエピソードに事欠かないパトリック・デンプシー。こういうギャップも彼の大きな魅力。真面目か。
*出典元:https://people.com/
さて、2024年の私の映画始めは、感謝祭で賑わう田舎町に現れた殺人鬼が、住人や学生たちを血祭りにあげていくスラッシャーホラー『サンクスギビング』。正体不明の殺人鬼を捜査する保安官を演じたパトリック・デンプシーが非常にイイ味を出していたので、これはすぐコラムで取り上げなければと思った次第です。
2023年には『ピープル』誌が選ぶ「世界で最もセクシーな男」にも選ばれ、「最近は脇役ばっかりだったから嬉しいよ!」と素直に喜んだ苦労人。彼が出演する映画は、これからも要チェックですよ。
ではまた!