映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第142弾の今回は、「ヘンリー・カヴィルの腕時計」をお送りします。

2005年、ジェームズ・ボンド役の最終オーディションに残ったものの、「ボンド役には若すぎる」として惜しくも落選となった当時22歳のヘンリー・カヴィル。その結果、当時37歳のダニエル・クレイグがボンド役を射止め、歴代最長期間となるボンド俳優として人気を獲得した事は、映画ファンであればご存知の事かと思います。

*出典元:https://deadline.com/

ボンド役には手が届きませんでしたが、その後は有名ブランドのモデルなどを務めながら俳優業を邁進。やがてハリウッド大作『マン・オブ・スティール』(2013)のスーパーマン役を射止めると、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)、『ジャスティス・リーグ』(2017)でも同役を演じたことで一気にファンを増やし、スター俳優へと成長を遂げたヘンリー・カヴィル。

今回は、そんな彼が劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

コードネーム U.N.C.L.E.

THE MAN FROM U.N.C.L.E.(2015)

*出典元:https://www.vanityfair.com/

東西冷戦真っ只中の1960年代、核開発を専門とする天才科学者の失踪事件が起きる。核兵器の拡散を企てる謎の国際犯罪組織が事件の黒幕であると睨んだアメリカ中央情報局(CIA)と、ソ連国家保安委員会(KGB)は、事件解決の為、長年の対立を超えて手を組むことになった。

科学者捜索の共同作戦に抜擢されたのは、元犯罪者の女たらしだが、行動心理分析と状況判断に優れたCIAのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)と、堅物ながら高い格闘能力を備えたKGBのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)。いずれも名うてのスパイとして知られた二人だった。考え方も捜査手法も全く異なる二人は、科学者の娘ガブリエラ(アリシア・ヴィキャンデル)と共に、国際犯罪組織の本拠地と目されるローマを目指す。

*出典元:https://bamfstyle.com/

1960年代に世界中で人気を博したアメリカのスパイドラマ『0011 ナポレオン・ソロ』(1960-1970)。その時代背景やファッションなどはそのままに、最新の映画技術でスタイリッシュに仕上げられたリメイク作『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015)では、ヘンリー・カヴィルは女に弱いCIAエージェント、主役のナポレオン・ソロを演じています。

本作で彼が着用している腕時計は、作品の舞台に合わせたヴィンテージのオメガ デ ヴィル クロノグラフ(Ref.BA 141.0009)。1960年代のTVドラマでも、ナポレオン・ソロを演じたロバート・ヴォーンがオメガの腕時計を着用しておりましたので、それに対するリスペクトと思われるチョイスです。

サスペクト-薄氷の狂気

NIGHT HUNTER(2018)

*出典元:https://www.ign.com/

木材を運搬するトラックの荷台から若い女性の遺体が発見される。現場を検証した捜査官のマーシャル(ヘンリー・カヴィル)は、何者かに追われていた女性が橋から飛び降り、走行中のトラックの荷台に落ちて死亡したものと推測する。時を同じくして、元判事のクーパー(ベン・キングズレー)の養女、ララが何者かに誘拐される。しかし、彼女が着けていた発信機により、町はずれの邸宅にララが監禁されていることが判明。邸宅に踏み込んだ警察は、犯人と思われる男、サイモン(ブレンダン・フレッチャー)を逮捕し、ララと共に複数の若い女性を救出する。トラックの荷台から発見された遺体も、サイモンから逃亡を図った女性のものであろうと思われた。

事件解決に向けてサイモンの取り調べが開始されたが、彼には知的障害があるのか、何を聞いても子供のように振舞うだけで、一向に捜査は進まない。そんな中、再び事件が起きる。果たしてサイモンは本当に事件の犯人なのか、、、

*出典元:https://m.imdb.com/

ミネソタの片田舎で起きた連続女性虐待事件を追う捜査官の姿を描いたサスペンス映画『サスペクト-薄氷の狂気』(2018)。ベン・キングズレースタンリー・トゥッチといった、数々の受賞歴を誇る名優が脇を固める中、ヘンリー・カヴィルは家庭も顧みず、身だしなみにも気を遣わない、仕事中毒の「ムサい」捜査官を演じています。

彼が本作で着用している腕時計は、廉価ながら視認性と耐久性に優れたクォーツのミリタリーウォッチ、タイメックス エクスペディション(Ref.T49997)。クラスプや尾錠ではなく、マジックテープで「バリバリッ」と着け外しする、超が付くほどのカジュアルウォッチです。これが、仕事以外には何も考えたくないワーカーホリックな捜査官、マーシャルのキャラクターをいっそう強く際立たせています。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト

MISSION: IMPOSSIBLE – FALLOUT(2018)

*出典元:https://www.netflixjunkie.com/

IMFのエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は、盗難されたプルトニウム回収の為、ギャングとの取引に向かう。しかし取引現場をテロ組織「神の使徒」に襲撃され、イーサンはプルトニウムを強奪されてしまう。「神の使徒」の目的は、強奪したプルトニウムを用いた、三つの都市での同時核爆発テロの実行だった。

「神の使徒」を追うイーサンは、ある武器商人が、ジョン・ラークなる男にプルトニウムを売ろうとしているという情報を得て、二人が接触するパリのナイトクラブに潜入。しかしCIA長官はイーサンの行動を怪しみ、CIAのエージェント、ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)をお目付け役として同行させる。イーサンは武器商人との接触に成功するが、プルトニウムを渡す替わり、あるテロリストの身柄を引き渡すよう要求される、、、

*出典元:https://www.pinterest.com

トム・クルーズが製作・主演を務める人気スパイアクションシリーズ『ミッション:インポッシブル』の第6作、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)。イーサン・ハントのお目付け役として派遣されたCIAエージェント、しかしてその正体は、、、という裏のあるキャラクター「ウォーカー」を、ヘンリー・カヴィルが熱演しています。

劇中で彼が着用している腕時計は、スント スパルタンスポーツ リスト HR(Ref.SS023310000)。80年以上の歴史を持つフィンランドの方位計メーカーであるスントは、現在ではアウトドアウォッチのトップメーカーとして知られています。本作ではトム・クルーズ以上に激しいアクションをこなしているヘンリー・カヴィルですので、これくらい頑丈な腕時計でなければ、彼の相棒にはなれそうもありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

クールなイケメンでありながら、スーツに合うドレスウォッチだけでなく、激しいアクションにも耐え得るミリタリー&アウトドアウォッチまでセクシーに着けこなしているのは、さすが元モデルのヘンリー・カヴィルならではと言えるでしょう。

*出典元:https://www.independent.co.uk/

マン・オブ・スティール』のスーパーマン役で人気を獲得したヘンリー・カヴィルですが、彼自身のSNSアカウントでは「僕がマントをつける出番は終わった」と公表しており、残念ながらスーパーマン役からは降板となった模様。とは言え、「スーパーマン役者」のイメージが完全に定着する前に卒業できたのは、他の役を演じる上ではむしろプラスなのではないかと個人的には思っています。

サスペクト-薄氷の狂気』のムサい捜査官など、一筋縄ではいかない複雑なキャラクター演技も十分に可能なことを証明したヘンリー・カヴィル。ボンド役に落ちても、スーパーマン役を降板となっても、最早その程度で経歴にキズが付くようなヤワな俳優ではありません。

どんな腕時計でも華麗に着けこなす鋼の男(マン・オブ・スティール)、ヘンリー・カヴィルが次の作品でどんな腕時計を着けるのか、楽しみに待つと致しましょう。

ではまた!

Actor's watch