映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第140弾の今回は、「ロバート・パティンソンの腕時計」をお送りします。
ほぼデビュー作と言える『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005)で、ホグワーツの生徒の一人、セドリック役で注目を集めたロバート・パティンソン。続く『トワイライト』(2008)シリーズでは、現代を舞台に女子高生と禁断の恋に落ちる美しきヴァンパイア青年を演じ、世界中の中二病の女子高生たちを虜にして大ブレイク。一気にスターダムを駆けあがります。
*出典元:https://www.gq-magazine.co.uk/
30代後半となった近年も、バットマンの最新作『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)で主役となるブルース・ウェイン役を演じるなど、ハリウッド大作の主役級俳優へと昇りつめたロバート・パティンソン。若手スターの中でも屈指の「高ギャラ俳優」となっているのも納得の仕事ぶりです。
今回は、そんなロバート・パティンソンが劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。
コズモポリス
COSMOPOLIS(2012)
*出典元:https://www.allocine.fr/
若くして巨万の富を得た青年投資家のエリック(ロバート・パティンソン)は、資産家令嬢のエリーズ(サラ・ガドン)と結婚しながら、最新のハイテク機器を搭載した大型リムジンの中で愛人たちとの密会を楽しんでいた。ある日、大統領訪問による交通規制で渋滞となったニューヨークの街中でリムジンを走らせていた彼は、ふと思い立って理髪店に行こうとするが、渋滞は遅々として進まない。
部下からレバレッジの失敗で数百万ドルの損失が出ると報告を受けたエリックだが、彼はそうなることを知っていたかのように、損失など気にしない様子で車内で愛人との愛欲にふけり続けていた。そんな中、エリックの元には、彼の命を狙う襲撃者が近づいていた、、、
*出典元:https://www.hautetime.com/
『ザ・フライ』(1986)や『裸のランチ』(1991)で知られる名匠、デヴィッド・クローネンバーグ監督が、『イグジステンス』(1999)で描いた「資本主義社会は現実か?ゲームか?」というテーマに再び挑むサスペンスドラマ『コズモポリス』(2012)。
人生を「退屈なテレビゲーム」のように生きるニューリッチのエリック。彼を演じるロバート・パティンソンが本作で着用している腕時計は、シャネル J12 クロマチック クラシック オートマチック (Ref.H2934)と思われます。グッチのスーツに身を包み、リムジンの中で愛人を抱く事だけが現実であるかのように振る舞うイケメン資産家役だけに、高級腕時計の中でも、特に女性への知名度が高いモデルが選ばれたのかもしれません。
テネット
THE BOURNE LEGACY(2012)
*出典元:https://wegotthiscovered.com/
ある任務の遂行中、テロ組織に捕らえられた「名も無き男」と呼ばれるCIA工作員(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、拷問で口を割らぬよう、毒入りカプセルを飲んで自殺を図るが、しばらくして見知らぬ船の上で目を覚ます。彼の前に現れた男は、先の任務は適正試験であり、毒と思って飲んだカプセルは睡眠薬であったと明かす。その男は、第三次世界大戦の勃発を防ぐために創設された組織「TENET(テネット)」のスカウトだった。
テネットに加わった「名も無き男」は、未来人が作り出した「時間を逆行させる装置」を手に入れるため、物理学者でもあるエージェントのニール(ロバート・パティンソン)と共に、「時間」の流れの中を縦横無尽に駆け巡る。
*出典元:https://www.reddit.com/
*出典元:https://www.reddit.com/
クリストファー・ノーラン監督の手による、順行する時間と逆行する時間が複雑に絡み合うSFサスペンス『テネット』(2020)。物理学者でもあるCIA工作員、ニールを演じるロバート・パティンソンは、この物語の中でIWC ビッグパイロット(Ref.IW501001)と、オメガ デヴィル(Ref.4631.31.31)を着用しています。
主人公の「名も無き男」を演じるジョン・デヴィッド・ワシントンがハミルトンのジャズマスターと思われるメタルブレスレットのクロノグラフを着用しているのに対し、ロバート・パティンソンはトラッドな雰囲気のある革ベルトの3針モデル。時間が進んだり戻ったりするカオスな状況にも柔軟に対応し、お洒落を楽しむ事も忘れないニールのキャラクターをよく表現しているのではないでしょうか。
まとめ
今回はまとめに替え、ロバート・パティンソンがプライベートで愛用している腕時計をご紹介して当コラムを締めさせていただきましょう。
*出典元:https://commons.wikimedia.org/
上の写真は、2010年前後のコミコン(漫画やアニメ、ゲームなどのファンが主体となって行われる、大規模オタクイベント)に登場したロバート・パティンソンの姿。彼の腕にはヴィンテージのクロノグラフが着けられています。写真を拡大してよく見ると、リューズとプッシャーだけでなく、8時と10時位置のケースサイドにも、何やらボタンのようなものが、、、
ヴィンテージのクロノグラフがお好きな方なら、この写真を見ただけでピンと来るのではないでしょうか。特徴的なボタンと文字盤の配置から、この腕時計は「バルジュー88」を搭載したトリプルカレンダー クロノグラフ ムーンフェイズではないかと思われます。
*出典元:https://www.pinterest.com/
機械式クロノグラフの名機「バルジュー72」をベースに、カレンダーとムーンフェイズを追加して生まれた「バルジュー88」は、ホイヤー、ブライトリングをはじめ、ギャレットやレコードなど、1947年から1974年頃までの製造期間において、多彩なブランドに採用されたことで知られています。
そんな「バルジュー88」を搭載した腕時計は、上の画像のように似たようなモデルが数多く発売されており、残念ながら彼が愛用しているブランドやモデルを特定することはできませんでした。
しかし、当時まだ20代後半だった彼の「他人と同じ腕時計を着けたくない」という気持ちはヒシヒシと伝わってくるのではないでしょうか。20代でバルジュー88搭載のヴィンテージウォッチを選ぶのは、ハッキリ申しあげまして時計好きの中でも相当の変わり者です(笑)
*出典元:https://www.dailymail.co.uk/
そんな彼の「変わり者」具合がよくわかる写真をもう一枚発見しましたので、皆様と共有して終わりたいと思います。ちなみにこのヘアスタイルは、ファンの間ですこぶる評判が悪かったそうです。(当たり前!!!)
ではまた!