映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第137弾の今回は、「エドワード・ノートンの腕時計」をお送りします。

リチャード・ギア主演のサスペンス映画『真実の行方』(1996)。2000人以上のオーディションを勝ち抜いて出演が決まったエドワード・ノートンは、映画デビューとなる本作で見せた多重人格の殺人容疑者役の演技が絶賛され、映画俳優としての道を歩み始めると同時に、ハリウッドを代表する演技派俳優としての地位を確立します。

*出典元:https://www.gq-magazine.co.uk/

大学時代に日本語を学び、祖父である都市開発の専門家、ジェームズ・ラウスと共に大阪の水族館「海遊館」の建造にも携わった経験のあるエドワード・ノートン。日本語も堪能で、新作映画のキャンペーンなどで来日した際は「おおきに!」と挨拶することがお約束の親日家スターとして、日本の映画ファンに親しまれています。

今回は、そんなエドワード・ノートンが劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

ファイト・クラブ

FIGHT CLUB(1999)

*出典元:https://faroutmagazine.co.uk/

大手自動車会社のリコール調査員として多忙な「僕」(エドワード・ノートン)は、北欧の家具や食器、ブランド服などに囲まれ、高級コンドミニアムで何不自由ない生活を送っていた。ある日「僕」は出張中の飛行機の中で、石鹸のセールスマンを名乗る男、タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)と出会う。「石鹸だけじゃなく、爆弾だって作れる」とうそぶくタイラーから名刺をもらった「僕」が出張から帰宅すると、なぜか自宅のコンドミニアムは爆発事故で粉々に吹っ飛んでいた。

家も家具も服も失った「僕」は、名刺を頼りにタイラーと再会。彼の家に居候させて欲しいと頼み込む。彼の答えは「俺を力いっぱい殴ったら泊めてやる」だった。深夜の駐車場で彼と殴り合い、強烈な充足感を得た「僕」は、タイラーとの奇妙な同居を開始した。街中でたびたび殴り合いを楽しむ「僕」とタイラー。やがてそこに街の男たちも集まり始める。それが1対1の喧嘩を楽しむ男たちの秘密組織「ファイト・クラブ」になるまで、大した時間はかからなかった、、、。

*出典元:https://www.reddit.com/

セブン』(1995)のデヴィッド・フィンチャー監督が再びブラッド・ピットと組んだアナーキー&バイオレンスなサスペンス映画『ファイト・クラブ』(1999)。ブラッド・ピット演じる暴力主義者、タイラー・ダーデンから殴り合いの手ほどきを受けるエリートサラリーマンを演じたエドワード・ノートン。劇中で彼が身に着けている腕時計は、ハッキリと見えるシーンは無いものの、映画&時計ファンの間では、ハミルトン ジャズマスター(Ref.不明/参考画像)ではないかと言われています。

本作が公開された1999年頃は、クォーツ式から機械式へと腕時計のトレンドが移り始めた過渡期にあたります。家具をイケアで揃えるトレンドに敏感なプチ贅沢好きのサラリーマンというキャラクターだけに、腕時計もトレンドを先取りしたリーズナブルな機械式であればシックリ来ます。もちろん、クォーツの可能性もゼロではありませんが。

インクレディブル・ハルク

THE INCREDIBLE HULK(2008)

*出典元:https://www.vanityfair.com/

天才物理学者のブルース・バナー博士(エドワード・ノートン)は、スーパーヒーロー「キャプテン・アメリカ」を生んだ「超人血清」の再現実験に取り組んでいた。やがて試験段階の血清を自らに投与した彼だが、実験は失敗。彼は強大なパワーを持つ緑の巨人「ハルク」に変貌して理性を失い、軍から追われる身となってしまう。

心拍数の上昇により自らの意思とは無関係に巨人化してしまう彼は、ブラジルの武道家(ヒクソン・グレイシー)の元で感情の制御を学びつつ、身体を元に戻す方法を模索していた。しかしある日、軍の精鋭部隊から急襲を受けて追い詰められた彼は、「ハルク」へと変貌。部隊を壊滅させる。そこで唯一生き残った精鋭隊員のブロンスキー(ティム・ロス)は、強大な「ハルク」の力に対抗するため、ブルースの血液サンプルを取り込み、自ら巨人化することを選択する、、、

*出典元:https://www.quora.com/

アベンジャーズ』(2012)シリーズへの登場でもお馴染みの、怪力を持つ緑色の巨人「ハルク」。その誕生を描いた『インクレディブル・ハルク』(2008)では、「ハルク」に変貌するブルース博士を演じるエドワード・ノートンが、ポラールの心拍計ウォッチ(Ref.不明)を着用しています。

1977年創業、現在でもアスリート用心拍計などのトップメーカーとして知られるポラール。劇中では、ヒクソン・グレイシーから怒りを抑える方法を学ぶブルース博士が心拍数を確認するシーンなどで、ハッキリとその姿を見せています。

マザーレス・ブルックリン

MOTHERLESS BROOKLYN(2019)

*出典元:https://ew.com/

1950年代末期のニューヨーク。孤児院で暮らしていたライオネル(エドワード・ノートン)は、私立探偵のフランク(ブルース・ウィリス)に引き取られ、見習いの探偵として働き始める。チック障害により意図しない言葉をいつも口走ってしまうライオネルだが、人並外れた記憶力を駆使して探偵の仕事を全うしていた。

そんなある日、自分を探偵として育ててくれたフランクが何者かに銃殺されるという事件が起きる。手掛かりが少なく捜査が難航する中、フランクの形見の帽子とコートを身に着け、彼の死の真相を追い求めるライオネル。やがて彼はニューヨークの都市開発計画の裏に隠された、大きな陰謀の中に足を踏み入れていく、、、

*出典元:https://m.imdb.com/

エドワード・ノートンが監督・脚本・製作・主演を務めた、第二次世界大戦の終結から約10年後のニューヨークを舞台に繰り広げられる、ハードボイルドな探偵映画『マザーレス・ブルックリン』(2019)。神経疾患を持ちながらも、抜群の記憶力で事件の真相に迫る探偵ライオネルを演じたエドワード・ノートンは、本作でラ・マルクの三針ウォッチ(Ref.不明)を着用しています。

1940年代から60年代にかけてアメリカで人気だった大衆時計メーカー「ラ・マルク(La Marque」。孤児院育ちの裕福とは言えない彼の生い立ちを表現し、かつ、時代背景にも沿ったヴィンテージ腕時計と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

プライベートでも、ロレックスパテックフィリップなどの高級腕時計を身に着けた写真はほとんど見つからず、映画の中でも庶民的な腕時計ばかり着用しているエドワード・ノートン。高級腕時計専門店のコラムとしては、あまり面白くない結果となってしまいました(笑)。なんかスミマセン。

*出典元:https://lgbtqia-characters.fandom.com/

さて、エドワード・ノートンの最新作と言えば、当コラムでも何度か取り上げたことのあるウェス・アンダーソン監督の『アステロイド・シティ』(2023)。劇中では「伝説の劇作家」と呼ばれる脚本家を演じているようですが、ネタバレ防止のため、あまり詳しく調べてはおりませんので悪しからず。

ウェス・アンダーソン監督作では、監督の盟友オーウェン・ウィルソンがロレックスの腕時計を着用したりなど、魅力的な腕時計も登場いたします。近々映画館で鑑賞する予定ですので、気になる腕時計を身に着けていましたらご報告いたします。

☞#54 オーウェン・ウィルソンの腕時計 を読む

ではまた!

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