映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第13弾の今回は「13」にちなんで映画『アポロ13』にも登場するタイムピース、
「オメガ スピードマスター」を取り上げたいと思います。

*出典元:https://eiga.com

十分すぎるほどの歴史性、ストーリー性を備えたオメガのアイコン「スピードマスター」は富裕層やエリート、成功者などを表現したい場合に着けられるロレックスとは異なり、どのような人物が着用しても違和感なくキャラクターを演出できるため、数々の映画で多くの登場人物に着けられているまさに「Actor’s Watch」の代表格と言えるでしょう。

なにぶん対象映画の本数が多く、1回では収まりきらないので前後編に分けてお送りいたします。どうぞお付き合いのほどを。

『アポロ13』

“Apollo 13″(1995)

人類3回目の有人月面着陸を目指した「アポロ13号」の爆発事故と奇跡の生還を描く、実話をもとにしたパニック映画『アポロ13』。この作品でスピードマスターを着用しているのは宇宙飛行士ジム・ラヴェル役のトム・ハンクスやジャック・スワイガート役のケビン・ベーコン

*出典元:https://howtodresslikethat.com

本作では宇宙空間での酸素タンク爆発による二酸化炭素濃度の上昇、極端な温度低下、生命維持の電力不足など、死に直結しかねない数々の困難が乗組員たちに襲いかかります。忍耐力と科学知識でなんとかこの困難を乗り越えた乗組員たちですが、宇宙船は地球に帰還するための正しい軌道を徐々に外れ始め、このままでは二度と地球に戻れないという危機に直面します。

*出典元:http://www.chronomaddox.com

そこで宇宙船の軌道を修正するために行われた「あるミッション」に登場するのが、司令船操縦士スワイガードが着用していたスピードマスター。失敗すれば一巻の終わりという「ミッションの内容」「スピードマスターがどう使われたか」は、ぜひ実際に映画を観てお確かめください。

『ライトスタッフ』

“The Right Stuff”(1983)

1958年から1963年にかけて、有人での宇宙飛行を目指したNASAの「マーキュリー計画」とアメリカ初の宇宙飛行士に選ばれた7人の男たちを描く実録映画『ライトスタッフ』では、宇宙飛行士のゴードン・クーパー役を演じたデニス・クエイドや、同じく宇宙飛行士のアラン・シェパード役のスコット・グレンがスピードマスターを着用しています。

*出典元:http://watchspotting.blogspot.com

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「ムーン・ウォッチ」の異名をとるオメガ スピードマスター。
『アポロ13』と並び映画史に燦然と輝く「宇宙飛行士映画」の両傑作において、いずれも強い存在感を示しているのはさすがと言えます。

ちなみにゴードン・クーパーは1963年5月のマーキュリー計画「アトラス9号」での宇宙飛行の際に、私物のスピードマスター「CK2998-4」を着用。

*出典元:https://www.watchbooksonly.com

アラン・シェパードにおいては船長としてアポロ14号に搭乗した際、宇宙服の上からスピードマスターを着用しています。

*出典元:https://commons.wikimedia.org

『イベント・ホライゾン』

“Event Horizon”(1997)

西暦2047年。7年前の処女航海中に消息を絶ったとされる宇宙船「イベント・ホライゾン号」が海王星付近に突如として出現。乗組員たちを救出するため海王星に向かった救助艇の隊員たちが味わう恐怖を描いたSFホラー映画『イベント・ホライゾン』

この映画ではスピードマスターは誰も着用しておらず、ペットボトルや日誌、紙コップなどと共にイベント・ホライゾン号の無人の通路をスピードマスターにしか見えない時計がフワフワと浮遊する姿が映し出されます。

*出典元:https://www.reddit.com

持ち主が誰かはわかりませんが、2040年代においてもスピードマスターは「宇宙飛行士の時計」であり続けているようで何よりです。

『消されたヘッドライン』

“State of Play”(2009)

政界スキャンダルと同じ日に起きた殺人事件を追う新聞記者が、大きな政治的陰謀に巻き込まれていくポリティカル・サスペンス『消されたヘッドライン』

*出典元:http://watchspotting.blogspot.com/

この映画ではワイルドな敏腕記者を演じるラッセル・クロウがスピードマスター50周年モデルを着用。12時位置のシーホースのエンブレムが見てとれるシーンがあります。アクティブな行動派ながらネット全盛の時代においても入念な調査と裏取りに時間をかける古いタイプの新聞記者の腕には、歴史あるスピードマスターがよく似合っています。

『ラスト・ターゲット』

“The American”(2010)

潜伏先の村で人間らしい生活を取り戻したベテランの暗殺者が裏社会からの引退を懸けて「最後の仕事」に挑むクライムサスペンス『ラスト・ターゲット』。この映画では寡黙な暗殺者”ジャック”役を演じるジョージ・クルーニーがスピードマスターを着用しています。

*出典元:https://likeafilmstar.com/

ライフル銃の組み立て時間を計るためにクロノグラフが使われるなど、時計がアップになるシーンもあり、デヴィッド・ボウイやビョークのプロモーションビデオ等を手掛けたアントン・コービン監督による、素朴ながら美しい映像に、虚飾を配したスピードマスターの機能美がよく映えているように感じられます。

裏切りのサーカス

*出典元:https://likeafilmstar.com

“Tinker Tailor Soldier Spy”(2011)

英国情報部「MI6」の元職員で、その経験をもとにスパイ小説を書き始めたジョン・ル・カレ。『裏切りのサーカス』は東西冷戦時のイギリスとソ連の情報戦を描いた彼の小説『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』の映画化作品となります。

この映画でスピードマスター プロフェッショナルを着用しているのは、イギリス側の工作員、リッキー・ター役のトム・ハーディ。ワイルドで不良のような雰囲気の若手工作員というキャラクター性に、スポーティーなスピードマスターがよく似合っています。まわりの登場人物の多くが、英国式のエレガントさをたたえた大人キャラなので、実用性重視のスピードマスターの存在が一層際立って感じられます。

*出典元:https://www.fratellowatches.com

クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』(2017)でも「CK2129」を着用していたトム・ハーディ。何かとオメガに縁があるようです。

*出典元:https://www.professionalwatches.com

前半のまとめ

さて『映画とオメガ スピードマスター【前編】』はここまで。
映画の中におけるスピードマスターは、宇宙飛行士から暗殺者、新聞記者や工作員などある種の「プロフェッショナル」を演じている俳優の着用が多いように感じますね。

【後半】はハリウッド映画だけでなくスピードマスターが登場する日本のテレビシリーズもご紹介する予定ですのでぜひお楽しみに!

ではまた!

Actor's watch