世界三大時計ブランドの一角、スイスの老舗高級腕時計ブランド【パテックフィリップ】。『ノーチラス』に次ぐ人気を誇る『アクアノート』は、1990年代後半に誕生した比較的新しいコレクションとなります。洗練されたスポーティなルックスと高貴な品格を併せ持ち、二次流通市場でも、常に高価格での取引が行われています。

今回はそんな【パテックフィリップ】『アクアノート』の代表的なモデル(「Ref.5060」、「Ref.5065」、「Ref.5167」)を3世代遡り、徹底比較していきます!『アクアノート』が欲しいけど、「どのモデルを購入しようか迷っている」、「『アクアノート』の歴史を知りたい」という方は、必読な内容となっていますので、是非とも最後までご覧ください。

『アクアノート』3世代の紹介

まずは今回比較する3つのモデル、「Ref.5060」、「Ref.5065」、「Ref.5167」をご紹介していきます。

2世代前 Ref.5060
スペック(仕様)
ケース径 34mm ベゼル SS
ダイヤル ブラック 夜光 トリチウムorルミノバ
素材 SS ブレスレット トロピカルバンド
防水性 120m 駆動方式 自動巻き
Cal 330SC パワーリザーブ 約48時間

1997年に登場した初代『アクアノート』「Ref.5060」。【パテックフィリップ】が2年の歳月をかけて開発した”トロピカルバンド”が初めて採用され、その生産期間が僅か1年程だったため、”超”が付く程の希少モデルとしても知られています。短命モデルとなった理由は諸説ありますが、「裏蓋がスケルトンバックではなかったことで美しいムーブメントを見れなかった」、「トロピカルバンドのみの仕様による汎用性の低さ」等が要因と言われています。

1世代前 Ref.5065
スペック(仕様)
ケース径 38mm ベゼル SS
ダイヤル ブラック 夜光 トリチウム or ルミノバ
素材 SS ブレスレット トロピカルバンド or SS
防水性 120m 駆動方式 自動巻き
Cal 315SC パワーリザーブ 約48時間

1998年頃~2007年頃まで製造されていた「Ref.5065」。基本的なデザインは初代モデルと変わりませんが、ケースサイズが38mmと一回り大きくなっています。他にも「Ref.5060」での不評な点を取り切るかのように、裏蓋がシースルー仕様へと変わり、SS(ステンレススチール)のブレスレットも加わったことで、選択の幅が広がりました。

現行モデル Ref.5167
スペック(仕様)
ケース径 40mm ベゼル SS
ダイヤル ブラック 夜光 ルミノバ
素材 SS ブレスレット トロピカルバンド or SS
防水性 120m 駆動方式 自動巻き
Cal 324SC パワーリザーブ 約45時間

素材やカラー違いのコレクションが複数存在する現行『アクアノート』。SS(ステンレススチール)素材の「Ref.5167」は、ケースサイズが40mmとこれまでよりも更に大きく、文字盤のデザインやブレスレットなどにも変更が加えられました。

「Ref.5060」と「Ref.5065」のスペック比較

まずは「Ref.5060」と「Ref.5065」の比較をしていきましょう。
主なスペックは以下の通りです。

Ref.5060
Ref.5065
34mm ケース径 38mm
SS ベゼル SS
ブラック ダイヤル ブラック
トリチウム or ルミノバ 夜光 トリチウム or ルミノバ
SS 素材 SS
トロピカルバンド ブレスレット トロピカルバンド or SS
120m 防水性 120m
自動巻き 駆動方式 自動巻き
Cal.330SC Cal Cal.315SC
約48時間 パワーリザーブ 約48時間

❶【ケース】

ケース径

Ref.5060 34mm
Ref.5065 38mm
「Ref.5065」は、34mmから38mmへと一回りサイズアップしました。ちなみに、34mmサイズの「Ref.5066」も同時期にラインアップされ、選択の幅が広がっています。

裏蓋

Ref.5060 クローズドバック
Ref.5065 スケルトンバック
「Ref.5065」は、スケルトンバックへと変更されたことで【パテックフィリップ】の特徴でもある、21金ローターを備えたムーブメント「Cal.315SC」を鑑賞できるようになりました。

❷【ブレスレット】

ブレスレットの展開

Ref.5060 トロピカルバンド
Ref.5065 トロピカルバンド or SS
「Ref.5065」は、トロピカルバンドに加え、SS(ステンレススチール)ブレスレット仕様も展開されています。
*トロピカルバンド:【パテックフィリップ】が2年の歳月をかけて開発した、コンポジット素材を使用したベルトのこと。
*コンポジット素材:F1や航空機に使われる高い強度を持つ素材で、優れた耐久性を持っており、通常のゴム素材とは違い、べとつかず装着感も優れています。

❸【ムーブメント】

ムーブメント

Ref.5060 Cal.330SC
Ref.5065 Cal.315SC
大きな仕様変更こそございませんが、ケースサイズアップに伴い、デイト表示が大きい「Cal.315SC」へと変更となっています。
「Ref.5065」と「Ref.5167」のスペック比較

続いて「Ref.5065」と「Ref.5167」の比較をしていきましょう。
主なスペックは以下の通りです。

Ref.5065
Ref.5167
38mm ケース径 40mm
SS ベゼル SS
ブラック ダイヤル ブラック
トリチウム or ルミノバ 夜光 ルミノバ
SS 素材 SS
トロピカルバンド or SS ブレスレット トロピカルバンド or SS
120m 防水性 120m
自動巻き 駆動方式 自動巻き
Cal.315SC Cal Cal.324SC
約48時間 パワーリザーブ 約45時間

❶【ケース】

ケース径

Ref.5065 38mm
Ref.5167 40mm
現行モデルの「Ref.5167」は、さらに大きい40mmへとサイズアップされました。『アクアノート』は、各世代によって大きさの違いがあり、それぞれ40mm=”エクストララージ”、38mm=”ラージ”、34mm=”ミディアム”と呼ばれています。

❷【ムーブメント】

ムーブメント

Ref.5065 Cal.315SC
Ref.5167 Cal.324SC
「Ref.5167」は、振動数”21,600″から”28,800″へとハイビート化されたムーブメント「Cal.324SC」が搭載され、携帯時の精度が各段に向上しました。

❸【ダイヤル】

ダイヤルの彫り

Ref.5065 彫りが深い
Ref.5167 彫りが浅い
“ワッフルダイヤル”と呼ばれる格子型の彫りのデザインが、「Ref.5167」では浅く平面的になったことで、よりスッキリとした印象となっています。

インデックス

Ref.5065 インデックスフチ無し、細長い形状
Ref.5167 インデックスフチあり、正方形に近い形状
「Ref.5065」はインデックスのフチがなく、細長い形状となっていますが、「Ref.5167」ではインデックスにフチが付き、やや正方形に近い形状へと変わっています。

❹【ブレスレット】

トロピカルバンドの溝

Ref.5065 溝が深い
Ref.5167 溝が浅い
「Ref.5167」は、文字盤の彫りが浅くなったことで、トロピカルバンドの溝も浅くなりました。

ブレスレットのデザイン

Ref.5065 鏡面仕上げ
Ref.5167 サテン仕上げ
鏡面仕上げでエッジが立ち、ゴツゴツした印象の「Ref.5065」に対して、「Ref.5167」では、三列ブレスレットのセンター部分にサテン仕上げを施し、全体的に丸みを帯びた柔らかい印象へと変更され、その上品さが増しました。
まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回、【パテックフィリップ】『アクアノート』の3世代を比較してみましたが、年月を経て、どのように進化を遂げてきたのかがお判りいただけたかと思います。

僅か1年程の製造期間であったことから希少とされている「Ref.5060」、トロピカルバンドとSS(ステンレススチール)ブレスレットの展開となったことで汎用性が増した「Ref.5065」、ケースサイズが上がったものの、ディテールの変更によりスッキリとしたデザインで、着用しやすい「Ref.5167」と、各々違った魅力がある『アクアノート』。

是非とも皆さんのお好きなモデルを探してみてください。

Other columnパテックフィリップ