みなさん、こんにちは。

今回も前回に引き続き11月5日(金)・7日(日)にスイス ジュネーブで開催された【PHILLIPS(フィリップス)】の時計オークション結果に基づき、【パテックフィリップ】の時計についてお話ししていきます。

※価格は落札価格に手数料(26%)が入った金額です。
※日本円は、オークション開催直近レートを参照しております。
※CHF(スイス・フラン)=125.56円
※画像は全てPHILLIPSを参照しております。

Lot.77
パーペチュアルカレンダー クロノグラフ 18KYG
Ref.3971

CHF 113,400(JPY 14,238,504)

1986年の「Ref.3970」(クローズドバック仕様)登場後、顧客からのスケルトンバック仕様の要望により誕生したと言われている「Ref.3971」。その後「Ref.3970」は、クローズドバックとスケルトンバックの両方を持つ仕様となり、「Ref.3971」は短命で終了したと言われております。オークションで見かけることはありますが、保証書が付属している個体は意外と少なく、その点も踏まえた落札価格だと思います。バトン型のインデックス、リーフ型の針もクラシカルな顔つきですね。

Lot.106
ノーチラス パワーリザーブ SS
Ref.3710/1A-001

CHF 88,200(JPY 11,074,392)

ノーチラスの”ジャンボ”サイズにパワーリザーブ表示を備えた「Ref.3710/1A-001」。1998年から2004~2005年頃まで生産されていたと言われていますが、意外とこの時計の存在を知らない方も多いのでは?と思います。今回出品された個体は状態も良さそうで、保証書の日付も2004年10月と高年式でオススメです。コミットでも販売実績はありますが、将来性を考えるとこのようなモデルを買っておくのも面白いかもしれませんね。

Lot.107
ノーチラス 18KYG
Ref.3800/1

CHF 100,800(JPY 12,656,448)

こちらは、ノーチラス’’ミディアム’’サイズ「Ref.3800」の18KYG(イエローゴールド)ケース。アーカイブにも記載がある通り、本来の文字盤はややアイボリーがかった白文字盤となっていますが、”カスタード”のような色に経年変化している点がポイントです。カタログには、”Tropical Lemon”なんて粋なネーミングが付いてますね(笑) 製造から僅か20年ほどですが、このような経年変化が見られるのはとても興味深いですし、愛着が沸きそうな1本です。また‘’ジャンボ’’サイズ「Ref.3700」の18KYG(イエローゴールド)ケースの価格高騰を考えると、こちら今後に期待できる1本かもしれません。

Lot.121
パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド・クロノグラフ SS
Ref.5004A-001

CHF 749,700(JPY 94,132,332)

レマニアベースのムーブメントを搭載している、人気のパーペチュアルカレンダー スプリットセコンド・クロノグラフ「Re.5004A-001」。こちらは、1994年から2010年頃までの間で、生産数僅か50本、極少数の選ばれた人のみ買うことが許されたと言われている、SS(ステンレススチール)のモデルです。販売店への納品時のビニール未開封(シングルシールド)状態であるという点は更に希少なポイントになりますね。今回、1億円近い落札金額となりましたが、希少性と状態を考えるとリーズナブルであるとも思えます。今後、コミットでも是非とも取り扱いたいモデルの一つです。

Lot.122
パーペチュアルカレンダー 18KWG
Ref.2497

CHF 2,813,000(JPY 353,200,280)

1951年~1962年まで製造され、世界で初めてセンターセコンド(秒針)、パーペチュアルカレンダーを搭載したモデルと言われている「Ref.2438/1」。裏蓋がスクリューバック仕様となっているのが「Ref.2438/1」、スナップバック仕様となっているのがこちらの「Ref.2497」です。18KWG (ホワイトゴールド)ケースの個体は、市場で3本しか確認されていなく、非常に希少とされています。この個体は「Ref.2497」の中でも最初期に製造されており、ゲイ・フレアー社製の【パテックフィリップ】オリジナル18KWG(ホワイトゴールド)ブレスレット仕様であるところはポイントですね。落札金額は日本円にして3億5千万円!!と驚愕ではありますが、希少性を考えるとこちらも納得の金額であると思います。

Lot.177
パーペチュアルカレンダー 18KYG
Ref.3450

CHF 252,000(JPY 31,641,120)

1962年に発売され、世界で初めて自動巻ムーブメントにパーペチュアルカレンダーを搭載したと言われている「Ref.3448」。その成功を受けて1981年に発表されたのが、閏年表示の窓が付いたこちらのモデル「Ref.3450」(文字盤3時位置と4時位置の間)。製造期間が短く、個体数も237本と少ないため、今回出品されていたおそらくノンポリッシュと思われるコンディションの良い個体は、なかなかオークションでも見かけないと思います。

Lot.182
パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ 18KYG
Ref.1518

CHF 541,800(JPY 68,028,408)

【パテックフィリップ】で初めて永久カレンダーとクロノグラフを同時に搭載した「Ref.1518」。1941年から1954年まで281本製造されたと言われており、ケース径は35mmと今では小ぶりなサイズ感ではありますが、アップライドのアラビックインデックスにリーフハンド、文字盤外周のタキメータースケール、ケースサイズに似つかわしくない大きめなリューズ、角型プッシャーと、なんとも言えない存在感を放っております。また、製造された個数の大半がYG(イエローゴールド)ケース、残りがRG(ローズゴールド)ケースと言われています。こちらはオリジナルの保証書に加えて、過去に【パテックフィリップ】で4回サービスを受けた際の明細書のコピーも付属しているようです。まさしく、コレクションに相応しいオークション・ピースであるかと思います。

Lot.184
パーペチュアルカレンダー 18KYG
Ref.2497

CHF 365,400(JPY 45,879,624)

Lot.122「Ref.2497」の18KYG(イエローゴールド)ケース仕様のこちらは、文字盤、ケースの状態が非常に良く、オリジナルの保証書も付属する希少個体です。更に18KYG(イエローゴールド)ケースで生産された中で唯一、ドイツ語表記のカレンダーを持つ個体でもあります。ちなみに、18KRG(ローズゴールド)仕様にもドイツ語表記のカレンダーを持つ個体が”1本のみ”存在するようです。こちらもオークション・ピースとして相応しい個体であるかと思います。

Lot.214
ノーチラス SS
Ref.3700/1

CHF 151,200(JPY 18,984,672)

ジェラルド・ジェンタ氏によって初代ノーチラスが発表されたのは1976年。こちらはその中でも比較的初期にあたる1978年に製造された「Ref.3700/1」通称”ジャンボ”です。今ではオークションでしか見かけることがなくなったと言っても過言ではないと思います。気がつけば、落札金額も日本円で2000万円近くとなっていますが、昨今のノーチラス人気を考えると、この落札金額は安いのかもしれませんね。

Lot.239
アクアノート ジャパンブルー SS
Ref.5066A-010

CHF 119,700(JPY 15,029,532)

1998年、日本市場向けに1000本限定で販売されたアクアノート”ミディアム”サイズ「Ref.5066A-010」。マット調のブルー文字盤に、ほんのり焼き色の付いたインデックス・針夜光が絶妙な雰囲気を演出し、文字盤と同色のトロピカルバンド(このモデル専用)との相性も抜群です。正直なところ、ハンマープライスがここまで行くとは思いもしませんでした。しかも、アーカイブのみということで、保証書が付属していたらどこまで上がっていたのでしょうか!?ここのところ、市場でも見かけなくなっていましたが、このような結果になるのもオークションならではであり、夢がありますね。

Lot.240
ノーチラス Platinum
Ref.3800P

CHF 252,000(JPY 31,641,120)

ノーチラス”ミディアム”サイズ「Ref.3800」の中でも非常に珍しいPlatinum(プラチナ)仕様「Ref.3800P」。私自身、時計業界に携わってから多くの【パテックフィリップ】のモデルを見てきましたが、Platinum(プラチナ)ケースの「Ref.3800」は、過去に1、2本しか見たことがありません。希少個体であることは言うまでもないのですが、こちらの個体は保証書も付属しており、コレクションピースとして間違い無い1本ですね。

Lot.243
ノーチラス 18KWG
Ref.3800/3

CHF 176,400(JPY 22,148,784)

続いてもノーチラス”ミディアム”サイズ「Ref.3800」の素材違い、18KWG(ホワイトゴールド)仕様の「Ref.3800/3」。アーカイブにも記載はありますが、ベゼル部分に40個のダイヤモンドがセットされた希少なモデルです。Platinum(プラチナ)ケースほどではないですが、市場で流通している個体は非常に少ないと思います。将来性を考えると、見つけたら即買いした方が良いモデルかもしれませんね。

Lot.246
ノーチラス トラベルタイム・クロノグラフ 18KRG
Ref.5990/1R-001

CHF 352,800(JPY 44,297,568)

2021年新作モデルが早くもオークションに登場しました。それも18KRG(ローズゴールド)ケース×ブルー・ソレイユ文字盤となれば、人気が出ないわけがありません。国内での流通は無いに等しく、国際相場を見てもこの落札金額は妥当であるのかもしれませんね。コミットでも是が非でも取り扱いたいモデルの一つであります。

Lot.247
パーペチュアルカレンダー クロノグラフ 18KYG
Ref.2499

CHF 1,482,000(JPY 186,079,920)

【パテックフィリップ】のパーペチュアルカレンダー クロノグラフの第2世代にあたる「Ref.2499」のセカンドシリーズ。文字盤外周部分にタキメータースケールが配されているのと、丸型のクロノグラフボタンの特徴を持つこのモデルは、ファーストシリーズと共に非常に人気があり、製造本数も少ない希少個体です。特筆すべき点は、文字盤、ケースのコンディション。細心の注意を払い、金庫の中で20年以上保管されていたようで、更に着脱可能なブレスレットも付いているなど、信じられない状態です。2億円という落札金額に見合う個体であると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回のオークションも【パテックフィリップ】の時計が、アンティークモデルから現行モデルまで多数出品されており、非常に楽しませて頂きました。海外オークションの結果につきましては、今後もパテック論にてお伝えさせていただきたいと思います。

また、次回もお楽しみに!

では、また!

阿部泰治のパテック論