みなさん、こんばんは。

本日は、5月27日(金)28日(土)に香港で開催されたPHILLIPS(フィリップス) のオークション結果に基づいて、お話ししていきたいと思います。

今回は、超絶モデル、希少モデル、現在・過去含めてコミット銀座(以下:当店)で取り扱いのあるモデルにフォーカスを当ててご紹介していきます。前回もお伝えしておりますが、最近のオークション結果はリアルタイムな相場観を知るうえで非常に有益な情報です。是非ともご参考に、最後までお付き合いください。

※価格については、オークションの落札価格に手数料(26%)が入った金額となっております。
※日本円につきましては、オークション開催直近レートを参照しております。

※HKD(香港ドル)=16.61円
※画像は全てPHLLIPS参照

Lot.885
『スプリットセコンド クロノグラフ』SS
「Ref.5950A-001」
HKD 3,024,000(JPY 50,228,340)

2010年にバーゼルワールドで発表された「Ref.5950A-001」は、SS(ステンレススチール)素材のクッションケースに、超薄型のシングルプッシュボタン・スプリットセコンドクロノグラフムーブメント「Cal.CHR 27-525 PS」を搭載した、極めて希少なモデルです。スケルトンバックから眺めるこちらのムーブメントは、まさしく芸術の域に達しているといえます。海外オークションで出品されている個体を見たことはありますが、実際に着けている方を見たことは未だにございません。是非いつか取り扱ってみたい1本ですね。

Lot.956
『ノーチラス』ラージ【Tiffany&Co.】18KRG
「Ref.5723/112R-001」
HKD 11,442,500(JPY 190,059,925)

2015年、『ノーチラス』ラージサイズ「Ref.5711」に18KRG(ローズゴールド)のケースが追加されました。それと時を同じくして発表されたこちらのモデルは、ベゼルに32個のバゲットカットのルビーがセットされ、文字盤のインデックスにも12個のバゲットカットのルビーが使用された極めて希少なモデルです。更に!この時計の特筆すべき点は【Tiffany&Co.】とのWネームということ。ただでさえ希少性が高いにもかかわらず、人気のWネーム仕様、、、落札金額は驚きの約2億円ですが、納得といえば納得かもしれません。

Lot.1029
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KYG
「Ref.3970E」
HKD 1,008,000(JPY 16,742,880)

『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ】第三世代「Ref.3970」の2nd シリーズにあたるこちらは、リーフハンドにバトン型のインデックス、ストレートのクロノ針が、クラシックな雰囲気を醸し出してマニア心をくすぐる1本。リファレンスは「Ref.3970E」ですので、裏蓋はスクリューダウン(ねじ込み式)となっております。アーカイブによると1988年の製造ですので、クローズドの裏蓋のみの仕様です。ホールマークもはっきりと確認でき、ケースの状態も良い、保証書などの付属品も完備している完璧な個体です。正直、この落札金額はかなりリーズナブルであったと思います。

Lot.1038
『ワールドタイム』Platinum
「Ref.5110P-001」
HKD 378,000(JPY 6,278,580)

ミレニアムにあたる2000年に、現代版『ワールドタイム』として、全てのケース素材(YG、RG、WG、PT)で発表されたこちらは、Platinum(プラチナ)ケースのみ、ブルーのギョーシェ仕上げされたデザイン(中央部)となっており、他のモデルとの差別化がはかられております。最近は、再評価が入り価格が高騰しているモデルが増えてきている中、このワールドタイム「Ref.5110」も、まさしくそれに当てはまります。

偶然にも現在、当店に同モデルがございます。オークション個体は保証書無し。当店の個体は保証書、箱など付属品あり。2021年4月にはメーカーにてオーバーホールも済んでおり、販売価格が、6,270,000円(税込)です。お探しの方は、是非ともこの機会をお見逃しなく!

Lot.1054
『パーペチュアル カレンダー クロノグラフ』Platinum
「Ref.5270P-001」
HKD 2,016,000(JPY 33,485,760)

2018年、「Ref.5270」シリーズ待望のPlatinum(プラチナ)ケース×クラシカルなサーモン文字盤を採用し発表されたこちらの「Ref.5270P-001」は、通常のバーインデックスではなく、10時‐2時位置にアラビアンインデックスを採用し、文字盤だけを見ても差別化されている特別なモデルであることが分かります。発売当初から出まわりの少ないモデルですが、最近はその姿をほとんど見ることが出来ず、評価・価値ともに上がってきております。2022年の新作にて、グリーン文字盤を採用した「Ref.5270P-014」が発表されたタイミングで、惜しまれつつも生産終了となりました。当店でも比較的最近に販売しておりますが、今後がとても楽しみなモデルの一つであると思います。

Lot.1055
『10デイズ トゥールビヨン』Platinum
「Ref.5101P-010」
HKD 1,323,000(JPY 21,975,000)

2003年に発表された『10デイズ トゥールビヨン』「Ref.5101」は、Platinum(プラチナ)素材のレクタングルケースに、トゥールビヨンと10日間のパワーリザーブを搭載した超複雑時計です。サーモンダイヤルにアップライドのブレゲインデックスが、クラシカルな雰囲気を醸し出しています。写真で見ると落ち着いた印象を抱きますが、実物は縦51.5mmというケースサイズで圧倒的な存在感を放っております。こちらも、過去のモデルへの再評価がされていることを踏まえると、お得感のあるプライスであったと思います。

Lot.1114
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』Platinum
「Ref.5970P-001」
HKD 2,772,000(JPY 46,042,620)

『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』の第三世代にあたる「Ref.3970」の後継モデルとして発表された「Ref.5970」は、レマニアベースのムーブメントを搭載した最後の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』。中でもこちらのPlatinum(プラチナ)ケースのモデルは、最後に発表された、生産期間も極めて短く、黒文字盤を使用した唯一のモデルであったことから、当初から人気で流通個体も少なかった印象です。出品された個体は、保証書日付が2016年と、比較的高年式であった点も評価されております。

Lot.1123
『パーペチュアルカレンダー ムーンフェイズ』18KYG
「Ref.3448」
HKD 1,386,000(JPY 23,021,460)

通称”パデローネ”の愛称で親しまれている「Ref.3448」は、【パテックフィリップ】初の自巻きパーペチュアルカレンダーを搭載した歴史的なモデルです。出品された個体は、アーカイブによると1977年に製造され、販売が1978年。最終のfourthモデルにあたり、ミニッツマーカーがプリントされているのが特徴です。また、ラグ裏、裏蓋にもホールマークがはっきりと確認出来ます。2017年に発表された『パーペチュアルカレンダー』「Ref.5320G」は、このモデルにインスパイアされたと言われておりますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

前回同様、今回のオークション結果も時計の市況を見るうえでとても参考になりました。

引き続き海外オークション含め国内外にアンテナを張り巡らし、価格はもちろん、状態含めて魅力的な【パテックフィリップ】の時計をたくさんご紹介していきたいと思います。少しでも多くの方とお話、お会い出来るのを楽しみにしておりますので、是非みなさん遊びにいらしてくださいね!

ではまた!

阿部泰治のパテック論